「参議院を笑う者は参議院に泣く」石井準一更迭で高市首相が自ら招く嵐の予感/倉山満

―[言論ストロングスタイル]― 9月17日には政権発足後初となる内閣改造が行われ、第2次高市改造内閣が発足した。その前日に実施された党役員人事で、高市首相はこれまで“聖域”とされてきた「参議院自民党」に踏み込んだ。そうした高市氏の動きに対し、「参議院を笑う者は参議院に泣く」と評するのは憲政史研究家の倉山満氏だ(以下、倉山満氏による寄稿)。◆石井氏を切るのは、筋が悪い 内閣改造が終わり、秋の臨時国会が始まった。嵐の予感しかしない。 改造の最大の注目は、参議院のドンと呼ばれる、石井準一参議院幹事長の処遇だった。参議院自民党は独自の組織を持ち、聖域とも言われる。私は、「高市首相もそこまでやったら相当だぞ」と思っていたが、その相当をやった。 現在、与党は衆議院では、自民党だけで三分の二の多数を超える。しかし、参議院では連立与党の日本維新の会と合わせても過半数に足らない。つまり、法案が通らない。事実、今年の特別国会(例年の通常国会に当たる)では、国会運営に苦しんだ。 理論上、参議院が否決した法案は衆議院の三分の二の多数で再可決して通すことができるし、そもそも予算には衆議院の優越があるのに、なぜか? 高市早苗首相は、予算の年度内成立に拘った。世論も「野党に質問時間を与えてもロクなことを言わないから、取り上げてしまえば通る」と後押しした。これに待ったをかけたのが石井氏である。 高市首相は、1月に衆議院を解散した。こんな時期に解散をしたら、3月31日までに予算を通すのは不可能であるのは、政治の常識である。また参議院では強行採決しようにも、その数を持たない。議会政治は、少数派の意見も聞くのが、慣例である。石井氏は、野党の意見を聞きながら審議、予算の年度内成立を諦めた。 これに石井氏との確執が古くから噂されてきた、高市首相がご立腹だったのは、永田町で知らぬ者はない。 それでも、特別国会での法案成立率は100%。石井氏が、少数政党や保守系無所属を引き入れたからだ。副首都法案など、2票差の僅差の可決である。 これ高市首相から見れば、「振り回されたあげく、最後に恩を着せられた」なのだろう。だが石井氏は、最終的に政権に貢献している。その石井氏を切るのは、筋が悪い。石井氏の側から見ると、恩知らずに映る。 石井参院幹事長更迭の報が伝わった直後、周辺から「やれるものならやってみろ、全面戦争だ」との声が漏れた。また、高市首相は同じ保守系の有村治子総務会長を石井氏の後任に据えようとしたが固辞されたとも報じられた。そらそうだろう。あまりに燃え上がっている、火中の栗である。