米兵事件、県政奪還直後で政府危機感…「最悪のタイミング」与党内から懸念の声やまず

政府は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の米海兵隊員が強盗殺人容疑で逮捕された事件を受け、対応に万全を期す姿勢を強調している。9月の県知事選で、同飛行場の名護市辺野古への移設を容認し、自民党などが支援した古謝(こじゃ)玄太知事が県政を奪還した直後だけに、世論の反応にも神経をとがらせている。
首相は5日の所信表明演説に先立ち、事件への遺憾の意を表明し、「対応に万全を期す」と言及した。首相周辺は「政府として重大な事案だと受け止めている危機感の表れだ」と語る。
逮捕後の政府の反応の早さにも表れている。米兵逮捕の当日には茂木外相が、京都滞在中だったジョージ・グラス駐日米大使を東京の外務省に呼び、対面で抗議した。小泉防衛相も在日米軍司令官を呼んで綱紀粛正を強く要請した。
沖縄では、米兵が絡む刑事事件が起こるたびに県民の批判が政府にも向けられてきた。今回の事件で、政府の基地問題への取り組みに理解を示してきた古謝氏が、協調姿勢を示しにくくなったとの見方も強い。古謝氏は近く上京し、首相らに厳正な対処を求める方針だ。
日本側の懸念は米側も理解している。グラス氏は5日、X(旧ツイッター)で「米軍人に最高水準の規律と誠実さを徹底させる」と投稿し、全面的に日本の捜査や綱紀粛正の要請に協力する姿勢を示した。
ただ、与党内からは影響を懸念する声がやまない。西銘恒三郎元沖縄相ら同県選出の自民党衆院議員4人は5日、「具体的かつ実効性のある再発防止策」を米側に求めるよう茂木、小泉両氏に申し入れた。このうちの一人は、政府と沖縄県が連携強化を模索していたことを念頭に「最悪のタイミングだ」と嘆いた。
日米地位協定は米兵や軍属による公務外での犯罪で容疑者の身柄が米側にある場合、起訴までは米側が拘束すると定める。今回は県警が容疑者の身柄を確保しており、日本の国内法に沿って手続きが進められる。