「ペットはだめ」と盲導犬との入居拒否、国が実態調査へ…視覚障害の男性「100件以上断られた」

盲導犬などを使用する障害者が、賃貸住宅への入居を断られるケースが起きている。貸主側が部屋を汚されたり、他の住人が嫌がったりするのを懸念しているためだ。身体障害者補助犬法はできる限り受け入れるよう求めており、国土交通省と厚生労働省は年内にも実態調査を行い、改善につなげる。
2002年施行の同法は、障害者が外出しやすいよう交通機関や飲食店、ホテルなど不特定多数の人が利用する施設を対象に同伴の受け入れを義務化した。賃貸住宅への入居は公営は義務、民間は努力義務とした。ペット不可の物件でも受け入れるよう求めている。
「今のアパートにたどり着くまで、100件以上断られた」。今年1月から、埼玉県所沢市のアパートで盲導犬と暮らす男性(45)は振り返る。
視覚障害があり、10年ほど盲導犬を使う。昨年9月から、東京都や隣県を中心に物件を探し、不動産店に電話で相談したが、「ペットはだめ」「大家から許可が下りない」と断られた。
盲導犬は専門の訓練を受け、適性を認められた犬の中から選ばれる。日本盲導犬協会神奈川訓練センター(横浜市)によると、訓練は約1年間に及び、排せつの仕方など社会的マナーも学ぶ。男性は「盲導犬は訓練を受けており、ペットとは違う」と説明したが、理解を得られなかったという。
NPO法人「日本補助犬情報センター」(横浜市)の調査(26年)では回答した25人のうち8人が入居を断られた経験があり、うち6人は同法施行後だった。国はこの現状を受け、不動産事業者の団体などを通じた実態調査を行う。拒否事例を把握し、懸念事項や、どうすれば受け入れやすくなるかを尋ねることを検討している。
大阪保健医療大の吉田文教授は「補助犬の使用者は、犬の排せつ管理や日々のブラッシングなどで、適切に衛生管理をしている」として理解を求めている。
◆身体障害者補助犬法=障害者の自立と社会参加を促進するため、議員立法で成立した。補助犬には、盲導犬、肢体不自由者のための介助犬、聴覚障害者のための聴導犬の3種類がある。今年4月現在で計849頭が活動している。