〈 「支持者をカネで買おうと…」“恫喝音声”の次は「シャトルバス買収」疑惑 簗和生農相(47)「政治とカネ」問題に失望の声あいつぐ 〉から続く
“恫喝音声”問題で批判が高まる簗和生農相(47)が、2024年10月の衆院選で公職選挙法が禁じる運動員買収を行った疑いがあることが、「 週刊文春 」の取材でわかった。複数の選挙事務員が取材に対し、投票呼びかけなどの選挙運動に携わったうえで報酬の支払いを受けていたことを認めた。専門家も「運動員買収に該当」と指摘している。
“シャトルバス買収”疑惑は「人道上の観点も」
簗氏は慶応大学商学部を卒業後、東京大学大学院を修了。衆院議員の秘書などを経て、2012年の衆院選で初当選を果たした。栃木3区が地盤で、現在当選6回。文科副大臣などを歴任後、今回、コメ問題などを舵取りする農相に起用された。
その簗氏に発覚したのが、“恫喝音声”だ。 「週刊文春 電子版」 は9月30日昼、簗氏が今年5月に地元関係者との会合で、自身を支持しなかった自治体の道路予算を「カットした」などと語った音声について報道。簗氏は当初「コメントを控える」と繰り返していたが、10月5日、「発言について撤回をし、お詫びをいたします」と謝罪した。
さらに「週刊文春」は10月8日発売号で、簗氏側が2024年と今年の衆院選で、公示日にシャトルバスを手配し、自身の支援者らを無料で送迎していたとする公職選挙法違反疑惑を報じた。簗氏は10月13日の国会で「人道上の観点もありバスを用意した。利益供与ではない」などと答弁している。
「電話帳を見て個人個人のところに電話をかけました」
だが、「週刊文春」の取材で今回、新たに選挙事務員を巡る公職選挙法違反疑惑が発覚した。
公職選挙法は、電話による投票の呼びかけに対して報酬を支払うことを買収として固く禁じている。一方、来客応対などを担う選挙事務員には、一定の条件で1人1日1万円(当時=現在は1万5000円)を上限に報酬を支払うことが認められている。ただ、「事務員」という名目でも、電話による投票の呼びかけの対価として報酬を支払えば、買収に該当する。
ところが、簗氏の陣営では、2024年10月27日投開票の衆院選で、複数の事務員が投票の呼びかけなどの選挙運動に携わり、報酬の支払いを受けていたのだ。
事務員が振り返る。
「簗さんから直接『電話かけをお願いしたい』と電話が来て。それで、電話帳を見て個人個人のところに電話をかけました」
「作業が終わると、秘書の方から現金と領収書をもらいました」
別の事務員も次のように証言する。
「私がやっていたのは、『投票お願いします』といった電話です。スタッフから渡された名簿を見て『お願いします』と。簗さんも負けそうだったので、すごく必死だった。作業が終わると、秘書の方から現金と領収書をもらいました」
果たして、簗氏はこの選挙で、渡辺真太朗氏(無所属)の猛追を凌ぎ、178票差で辛勝を収めたのだった。
電話での投票依頼の対価を支払う約束で逮捕・有罪の事例も
選挙は民主主義の根幹だ。公正性を担保するため、一部の例外を除き、報酬の支払いを認めていない。過去には、電話での投票依頼の対価として時給800円を支払う約束をしたとして、衆院選の候補者が逮捕・起訴され、有罪判決が下った事例もある。
政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。
「公職選挙法では、一般的な事務作業にのみ従事する選挙事務員が、電話での投票呼びかけのような選挙運動を行うことを認めていません。事務員が選挙運動に携わり、かつ報酬を支払っていれば、公職選挙法違反(運動員買収)に該当します。まして、簗氏本人が事務員に対し、投票の呼びかけを依頼していたとすれば、非常に悪質だと言えます」
簗事務所に事実関係の確認を求めたが、期限までに回答はなかった。
“恫喝音声”に加え、相次ぐ公職選挙法違反疑惑が発覚したことで、簗氏の説明責任を問う声が一層高まりそうだ。
《現在配信中の 「週刊文春 電子版」 ならびに10月15日(木)発売の「週刊文春」では、簗氏の運動員買収疑惑に関する事務員5人の重大証言や、簗氏が秘書に送った“買収指示メール”の中身、さらに簗氏と家族の複雑な関係や、裏金事件を巡る“開き直り音声”などについて5ページにわたって詳報している。
また、「週刊文春」では引き続き、簗氏に関する取材を進めています。情報提供は 文春リークス までお寄せください》
〈 【音声入手】簗和生農相が地元会合で「裏金はなかった」と開き直り〈“裏金議員”として初入閣の裏で…〉 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春)