「検証結果待つべきだ」耐震診断者が「船の体育館」解体巡り声明

香川県が解体を進める丹下健三設計の旧香川県立体育館(船の体育館)=高松市=について、2012年に耐震診断を行ったTANGE建築都市設計(東京都)の丹下憲孝代表が14日、新たな声明を発表した。この日は高松地裁で係争中の住民訴訟の中で、建物の耐震調査を実施するため工事が中断された期間の最終日に当たる。15日にも工事を再開する意向の香川県に対して、声明では「検証結果を待つべきであることは言をまちません」と再考を要請している。
「大きな憤りと強い遺憾の意」
声明で丹下代表は「改修によって建物をより安全に、永く守り継ぐために行われたはずの診断が、あろうことか解体の口実として利用されている」として、「大きな憤りと強い遺憾の意」を表明。「約15年の歳月を経て、建築技術も検証手法も著しく進歩している」などとして、現地調査で得られたデータによる耐震性能の検証結果と、その成果に基づくしかるべき検討がなされるまでは、解体工事の再開を見合わせるよう、県に求めている。
解体費の支出の差し止めを求めた住民訴訟では、12年の耐震診断を解体の根拠にすることの是非などが争点。住民側が要請した建物の耐震性能を調べるための現地調査の必要性を高松地裁が認め、県も現地調査のため1カ月間の工事中断を受け入れた。今後、地裁が選んだ専門事業者がデータを解析して、2~3カ月かけて鑑定結果を出す見通し。
県が工事を再開後は、新たに見つかったアスベストを除去する追加の内装工事に1~2カ月程度かかる見通し。その後、本体の解体に進む予定で、鑑定結果が出る前に建物が失われる懸念が高まっている。【森田真潮】