東電に賠償命令、国の責任は否定=福島・津島地区の原発避難者訴訟―仙台高裁

東京電力福島第1原発事故で、帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区の住民約630人が国と東電に総額約155億円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が16日、仙台高裁であった。石垣陽介裁判長は、国と東電の賠償責任を認めた一審判決を変更し、東電の責任のみ認め、国への請求は退けた。
石垣裁判長は、全電源喪失などに備えた過酷事故対策を東電に求めなかった国の責任について「直ちに違法とはならない」と指摘した。地区の空間放射線量を事故前の水準に戻す原状回復請求は、一審に引き続き認めなかった。
石垣裁判長は判決要旨を読み上げた後、「突然生活が奪われ、今も立ち入りが制限され、悲痛な思いを抱いていることは伝わった。国と浪江町は住民の思いを丁寧にくみ取り、津島の除染と復興に取り組むよう切に望む」と述べた。
原告団長の今野秀則さん(79)は判決後、記者会見し、「地裁判決より後退した。残念の極みだ」と話した。
一審福島地裁郡山支部は2021年7月、国と東電に総額約10億円の支払いを命じたが、原告と被告の双方が控訴していた。 [時事通信社]