国政政党が完全敗訴──異例の裁判の全容を、参政党に潜入した経験のあるジャーナリストの横田増生氏がレポートする。
300万円の賠償金を求めた裁判
東京高裁が参政党に敗訴の判決を言い渡したのは、9月17日のこと。裁判長が、「1・本件控訴を棄却する。2・控訴費用は控訴人の負担とする」──と読み上げると、傍聴席を埋めた被告の支援者からは安堵の声が漏れた。
参政党が、神谷宗幣氏の第二公設秘書だったAさんに対し、会議の録音データを外部の第三者に渡したとして、300万円の賠償金を求めて裁判を起こしたのは2024年3月のこと。それから2年半後、高裁判決が下り、参政党が上告しなかったため、参政党の敗訴が確定した。
20代の女性であるAさんは、会議の録音データは消去済みであり、第三者に渡した事実はない、と一貫して主張してきた。この裁判においてAさんを身近で支えてきた人物はこう証言する。
「高裁判決の後も、Aさんは参政党のことだから、きっと最高裁まで争ってくるよ、と言っていました。けれど、判決が確定したことにホッとして、お祝いにご飯を食べに行こう、となり、都内のホテルで一緒にお昼を食べました」
Aさんが参政党員となり、選挙のボランティア活動にかかわるようになったのは、神谷宗幣氏が参院選で当選する前の2022年の前半のこと。地域の支部長で、古参の女性党員だったBさんに声をかけられ、党員の名簿を作る作業から始めた。同年9月、Bさんの紹介により、参政党の職員となる。翌2023年2月、神谷宗幣氏の公設第二秘書となった。
しかし、党内でごたごたが続き、Bさんは2023年9月に神谷氏の公設秘書の職を辞し、12月に自殺した。神谷氏の肝煎りで進めた《加賀塾》の塾長を務めたBさんの娘は、SNS上で、母親が亡くなった、と明かし、「悔やんでも悔やみきれません」としたうえで、「正直に申し上げますと神谷宗幣氏関連の事業には今後一切かかわりたくありません」と書き込んだ。嫌気が差したAさんも同年11月に参政党を去っていた。
そのAさんが裁判に巻き込まれるのは、翌2024年1月、元参政党員の藤村晃子氏のYouTubeチャンネル《巫女ねこちゃんねる》に出演したことだった。Aさんが敬愛していたBさんが自殺したことを受け、もし参政党内でBさんのようにつらい思いをしている人たちがいたら救いたい、という一心で、Bさんが受けた待遇などについて番組中でこう語った。