武部新・農水相(56)が2024年衆院選で運動員買収を行っていた疑いがあることが「 週刊文春 」の取材で分かった。
武部氏を巡っては、 「週刊文春」が同じ衆院選で違法な献金を受け取った疑惑も報道。 武部氏は記事を受けて陳謝したが、今回、2つ目の公選法違反疑惑が発覚したことになる。
自民党に大逆風が吹いた衆院選での疑惑
運動員を買収した疑惑があるのは、2024年10月27日に投開票が行われた衆院選である。この選挙は武部氏にとって苦しい戦いだった。
「裏金問題で自民党に大逆風が吹いた選挙でした。対抗馬に肉薄され、比例復活を許したのです」(地元自民党関係者)
問題となるのは、公示日から投票日前日までの12日間、「無償車上運動員」を務めた、プロカメラマンX氏に対する支出だ。
武部陣営の「選対委員」を務めたと語る男性はこう証言する。
「ネット戦略要員の一人として陣営が頼んだ。街頭演説の場所で映像を撮って、すぐにネットに出す。武部さんは当時、相当ネットを駆使していて、(X氏は)その中心人物だった」
選挙のSNS戦略で想起されるのは、斎藤元彦兵庫県知事を巡る疑惑だ。斎藤氏は2024年の知事選で公式SNSの運用などをPR会社社長に依頼。70万円超の報酬を支払った。
だが、選挙運動は本来、ボランティアで行うものである。
一部の例外を除き、選挙運動員には報酬を払えないため、公選法違反の運動員買収に当たる疑いが指摘された。
武部氏の選挙運動費用収支報告書によれば、X氏は「無償車上運動員」と記載されており、1円も支払っていない形になっている。
ところが――。実際には報酬を支払っていた疑いが強いのだ。
「車上運動員登録しましたが、実際は…」事務所の回答
選挙運動費用収支報告書には、支払いを証明するための領収書や振込明細などが添付される。
武部氏の書類を確認すると、北見信用金庫が発行した「振込依頼書」が提出されている。そこには、X氏への〈選挙運動記録用写真・動画撮影代〉として、11月13日付で、86 万8738円の支払いが記載されているのだ。
公選法に詳しい日本大学の安野修右准教授が語る。
「プロカメラマンとしての写真・動画撮影に加え、SNSへのアップなど、ネット対策を率いる立場であれば、主体性や裁量性を持つ選挙運動員だと言えます。そもそも、選挙運動費用収支報告書には〈無償車上運動員〉と記され、選挙運動員であることを陣営が認めています。実態が選挙運動への対価だとすれば、斎藤知事のケースと同様、運動員買収が疑われます」
そもそも、金融機関の「振込依頼書」があるにもかかわらず、その支出が選挙運動費用収支報告書に記載されていないことは、極めて不可解な処理である。
武部氏の事務所に尋ねると、「振込依頼書」があるのに、その支出を記載しなかった問題には答えず、次のように回答した。
「当事務所の指示に基づいた写真及び動画撮影の業務を委託しました。状況によっては選挙カーの中から撮影する場面も生じるのではないかとのことで、念のため公選法に沿って車上運動員登録しましたが、実際は同氏自身の車を使用し撮影しました。車上運動員としての選挙運動は一切していません。ネット戦略を担当頂いた事実もありません」
現在配信中の「 週刊文春 電子版 」及び10月22日(木)発売の「週刊文春」では、X氏に対する直撃取材など、買収疑惑の詳細に加え、武部氏の父・勤氏へが息子に送った「エール」についても報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年10月29日号)