「なんでうちだけ…」。台風19号の影響で増水した阿賀野川。新潟県阿賀町のある温泉旅館は露天風呂を流され、旅館の役員男性は呆然とした様子で語った。
8つの温泉を持つ同町では、阿賀野川の流れを見ながら入浴できる風流な温泉旅館がいくつもある。川沿いの小高い丘の上に建つこの旅館も、川面に湯船が溶け込むような露天風呂が“売り”だった。四季折々の自然を独り占めできる露天風呂付き客室もあった。
男性によると、台風19号が新潟県に最も接近した13日未明、風雨が強くなり、水かさが増していった。3連休中とあって満室だった宿泊客を大広間に集めて避難させていたが、「聞いたことがないようなすごい音」がしたという。
露天風呂に行くと、川の濁流が流れ込んでいた。男性は腰の上まで泥水につかって貴重な品だけをつかんで戻った。
「すごい流れだった。露天風呂も、客室専用の露天風呂も全部流された。なんでうちだけこんな目に遭わなければいけないのか…」
旅館の外に出ると、道路に水があふれ、一時的に“陸の孤島”状態に。従業員と宿泊客は不安な一夜を過ごしたが、けが人はなかった。
旅館は現在、被災した部分を修復中。今後、1週間から10日は宿泊客を受け入れられない見通しだという。
14日午後、阿賀野川はまだ通常より水かさがあり、濁った水が勢いよく流れている。岸辺の木々は下流に向かって押し倒され、当時の水流の強さを物語っていた。