安保3文書で「拒否力」を防衛の柱に、相手国に「作戦遂行できない」と認識させ抑止力向上…政府調整

政府は、年内に改定する国家安全保障戦略など安保3文書で、日本への攻撃をしかける国があっても作戦目的を達成させないようにする「拒否力」の考え方を防衛力整備の柱に位置づける方向で調整に入った。侵攻作戦を阻む継戦能力の向上や、長射程ミサイルの配備強化などを通じ、相手国に「作戦を遂行できない」と認識させ、侵攻を未然に防ぐ抑止力を高める構想だ。
複数の政府関係者が明らかにした。拒否力を掲げることで、日本が目指す防衛力強化の方向性と優先順位を明確にする。装備体系では、侵攻を企てる相手国の艦艇を遠方から攻撃できる長射程ミサイルや、無人機の開発・配備を拡充し、日本周辺での軍事作戦を困難にさせる。防衛産業基盤を強化し、弾薬・ミサイルを持続的に生産できる体制を確立し、長期にわたり抗戦できる能力を整える。
拒否力は、こうした防衛力を保持することで、相手国に「日本への攻撃をしかけても目的を達成できない」と認識させることに主眼がある。その結果、相手国に作戦計画を断念させる抑止力につながる。力による現状変更に反対する同志国との連携を推進し、「日本を攻撃すれば多くの国と敵対関係に陥る」構図を作り、拒否力を高めることも目指す。
日米同盟の強化に向け、米国と足並みをそろえる狙いもある。米国は今年1月に公表した国家防衛戦略で、中国への対抗を念頭に、同盟国・同志国と連携して「拒否による抑止力強化」を図ると掲げた。インド太平洋地域における拒否力を確立するために、米軍と自衛隊の連携を深める展開が見込める。
相手の攻勢を阻む拒否力は、日本が堅持する「専守防衛」とも整合的だ。中国やロシアは、日本の防衛力強化に対し、「新型軍国主義」とのいわれなき批判を展開している。日本政府関係者は「他国からの脅威が生じた際に対処するという、日本の防衛政策への理解を国内外で広げる効果が期待できる」と指摘する。
小泉防衛相は23日の講演で「我々は自ら攻めることはしないが、自らに迫る脅威に対して拒否していく力を確立する必要がある」と語っていた。3文書改定に向けた政府の有識者会議でも、拒否力の概念を支持する意見が出ていた。