台風19号で大規模な浸水被害を受けた宮城県丸森町は15日、発生から3日を経て土砂崩れによる複数の安否不明者が確認されるなど被害の全体像が見えない状態が続く。町役場庁舎を含む中心部が浸水し、一時はボートを使わないとたどり着けない状態だったが、15日は通行人や車が往来できるまでになった。ただ、復旧までの道筋が見通せない現状に、被災した住民からは疲労の色もにじむ。
町内の避難所には、自衛隊や周辺自治体の給水車が集まり、住民が大きなペットボトルやポリタンクを携えて訪れた。
丸森小学校へ自転車で訪れた同町の無職女性(75)は「今朝になってやっと自宅の電話回線が復活した。息子や孫と話せてよかったけど、まだ水道水が出なくて不便」。そう話すと、複雑な表情でペットボトル4本を積み、自宅へ向かった。
水道復旧のめどは不透明なままだ。町建設課水道班の男性職員によると、町内に3カ所ある浄水場全てで取水機能が停止。町中心部へ送水する地中のパイプは、増水で押し流されるなどして破断し、全域で断水が続く。男性職員は「直そうにも各地の道路が寸断され、復旧の見通しは全く立っていない」と話した。
医療機関も深刻な被害を受けている。役場近くにある丸森病院は、床上15センチまで浸水。佐藤利治事務長補佐は「機械類がどこまで使えるのか、全く把握しきれていない。病院機能は停止している」と話し、同日午後からは入院患者を県内の病院に移送する作業を始めた。
地元の商店も打撃を受けた。同町で花屋を営む「古川花園(かえん)」の店舗では、フローリングの床下まで浸水。台風前に仕入れを控えて花の被害は抑えたが、葬儀向けに多くの花を用意するのは難しい状況だという。
社長の古川茂さん(65)は「うちは泥と水が引いたからまだましだが、商売している人は不安だろう」。保険や休業補償などの手続きも待っており、「再開は1週間や2週間では無理。かなり時間がかかるだろう」と唇をかんだ。(千葉元)