【台風19号】「家まで水は来ない」「畳上げとけばよかった」 難しい避難の判断

台風19号による各地の河川氾濫では、避難の判断が遅れて救助された人もいる。一歩間違えば命を落とした可能性もあり、避難する判断の難しさが浮かぶ。
千曲川の堤防が決壊した長野市の穂保(ほやす)地区に住む女性(78)は13日午前、消防隊に抱きかかえられて救助された。
12日夜は激しい雨が振っていたが「家まで水はこない」。こう思い込み、避難所には向かわず、2階で眠らずに過ごしていたという。
だが早朝、「ゴゴゴ」と大きな音を立て、一気に1階に泥水が流れ込んできた。「もう出れない」と判断し、2階のベランダに出て救助を待った。「一瞬で家が泥で埋まり、もう死ぬかと。恐ろしかった」と声を震わせた。
「ひどいもんですよ」
15日午前に、浸水した赤沼地区の自宅の様子を初めて見に行ったという田中充さん(93)は、惨状にため息をもらした。2メートルの高さまで水の跡があり、1階は一面泥だらけ。冷蔵庫は泥の山の上で横たわっていたという。
台風が接近してきた12日夕方からテレビなどで千曲川の水位が上昇していることは把握していたが、「まさか決壊しないだろう」と、午後8時半に就寝。すると、午前1時ごろに近くに住む息子が「早く逃げて」と駆けつけて近くの北部スポーツ・レクリエーションパークに逃げ込んだ。「冷静に考えてみれば、畳を上げておくとかできたのに」と悔やむ。
この日、避難所での3回目の朝を迎え、「さすがに疲れがでてきました」と田中さん。一方、避難所で活動するボランティアや市職員らに対しては「全国から駆けつけてくれて、とてもありがたい。十分のことをやってくれている」と涙ながらに感謝した。