町の機能停止、疲労色濃く=役場、病院が浸水―茨城・大子町

台風19号で甚大な被害を受けた茨城県北部の大子町。400戸以上が浸水したほか、約1000世帯で断水が続き、住民は苦しい生活を強いられている。役場や病院も浸水し、日々の暮らしを支える機能はほぼ停止したままだ。
町によると、台風で町の中心部を流れる久慈川などが氾濫。役場の1階部分が最大2メートル近く浸水し、職員によると「付近は海のようになった」という。
1階の部署は上階の会議室などで業務を続けているが、パソコンやプリンターは水にぬれて使えなくなった。台風被害への対応と並行して通常業務に当たらなければならず、職員の表情には疲労の色が濃くにじんでいる。
浸水被害は町内にある半数の病院に及んだ。このうち1953年に設立された「保内郷メディカルクリニック」は外科や内科など複数の診療科を持つが、患者のレントゲン写真やデータが失われ、電子機器や往診に使う車も被害を受けた。
来週から徐々に診療を再開する計画だが、桜山拓雄院長(73)は「全部を元通りにすると数億円かかる。新たにやるしかないが、これを機に辞めようかとも考えた」と唇をかむ。
町役場前にある生花店では、売り物の花が全滅し、温度管理用の冷蔵庫も壊れた。最低でも復旧に1カ月はかかる見通しだが、経営する内田輝子さん(73)は「また一からやり直す」と前を向いた。