「こんにちは。今日は讃岐うどんの正しい食べ方をお教えします」。高松市など香川県の離島を中心に11月4日まで開催されている瀬戸内国際芸術祭(秋会期)に、一般にはあまり知られていないという「正しい讃岐うどんの湯切り」を再現できるロボット「湯っくん」がデビューした。作り方を音声で説明しながら麺をお湯で温めて湯切りし、温かいだしをかけて来場者に提供してくれる。
開発したのは、香川大創造工学部の石原秀則准教授(51)。名古屋市出身だが、香川で暮らして20年以上になり、今ではほぼ毎日、昼食はうどん。「客が自分で湯切りする『セルフ方式』の面白さを広く知ってもらいたい」と発案。地元老舗店の麺やだしを使い、湯切りの時間や動作確認に試行錯誤を重ね、約1年かけ完成させた。
7~8月の夏会期でまず、冷たい麺に冷たいだしをかける「ひやかけうどん」を提供するロボットとして展示し、好評を博したが、動作の中で最もこだわったという「湯切り」はお湯ではなく水を使ったものだった。
当初、湯切りはラーメンのように激しい動きを採用しようとした。しかし、指導を受けた「本場さぬきうどん協同組合」からは、「激しい湯切りは麺をつぶしてしまうので讃岐うどんには不向き」と教わった。提供する半玉(1玉の半分)の麺の量に合わせ、湯切り網を上げてから約8秒間、しっかりと水が切れるまで網を動かさずに待つよう設定した。
ロボットの湯切り網に麺を入れると、ピンポン球で作った「目」が麺の動きを追い、湯切り網をお湯につけると、「軽く動かしてうどんをほぐします」などと教えてくれる。「湯っくん」の名は、夏会期の来場者から募った候補約1000点の中から選んだ。
部品は全てインターネット通販で購入できるものを使い、ネット上で図面も紹介する予定。石原さんは「誰でもまねして作ることができる。ロボットを通じて讃岐うどんの文化を県外、国外の人にも知ってもらえたら」と期待を寄せる。【潟見雄大】