トランプ米大統領は、地政学的問題の中心にいる国家のトップへ宛てた手紙の中で「善い行いをしない者は悪人として歴史の上で永遠に語り継がれるだろう。愚か者になってはいけない」という警告の手紙を送付した。
2019年10月初旬、トランプ米大統領がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領へ宛てた手紙には、ホワイトハウスの歴史上稀に見るとんでもない言葉が並べられていた。
米ニュースチャンネルFOXビジネスの番組司会者トリッシュ・リーガンが10月9日に明らかにした手紙の中で、トランプ大統領はトルコのエルドアン大統領に対して「折り合いをつけようじゃないか!」と勧告した。さらに、トルコがシリア北部に対する軍事攻撃を中止しない場合は経済制裁も辞さないと脅しをかけている。しかしトランプ大統領はわずか数日前に、トルコによるシリアへの軍事攻撃を承認したばかりだった。「人道的に事態を上手く収拾できれば、歴史にも好意的な功績として残されるだろう。ただし善い行いをしない者は、悪人として永遠に語り継がれる。タフガイを気取るな。愚か者になってはいけない!」とトランプ大統領は書いた。
「後で電話する」と手紙は締めくくられている。
トランプ大統領は、シリア北部から米軍を撤退させるという10月初旬に下した突然の決断を、どう正当化しようか悪戦苦闘している。米軍が撤収すればトルコは同地域へ展開し、クルド人勢力を攻撃可能な状況になる。ところが米国は、対イスラム国作戦で長期にわたりクルド人勢力と協力関係にあった。エルドアン大統領との電話会談後に公にされた米軍撤退の決定は、米国国防総省にも議会にも諮られることなく下された。そうしてシリア北部へのトルコ軍の侵攻を許した結果、数百人の犠牲者を出し、駐留米軍の兵士たちを危険に晒し、長年に渡る対イスラム国作戦の努力を無にしてしまったのだ。さらに大統領の決定に対しては、身内である共和党議員をはじめ各方面から厳しい非難の声が上がっている。10月16日、米上院で大統領の最も熱心な擁護者であるリンジー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)は、「私が議員になって以来初めて目にする最も酷い決断だ」と表現した。
また同16日には議会指導者たちが大統領と面談し、大統領の決定による悪影響をどう収拾するかについて話し合った。同日、米下院では、シリア北部からの米軍撤収に反対する決議案を354対60の賛成多数で可決している。議会指導者と大統領との話し合いの結果は好ましいものではなかった。「大統領は事態を掌握できていません」と、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州選出)は記者団に語った。「彼は全く対処できていないのです。共和党議員の約3分の2が大統領の決定に反対しました。大統領は対処できていない上に崩壊に向かっています。決議案を受けて私たちは、大統領に対イスラム国作戦の計画について聞き出そうとしました。結果はとても嘆かわしいものでした」という。
トルコ軍がクルド人に対する攻撃を仕掛ける中、トランプ大統領は自身の決定を正当化するため、米国はトルコ軍の侵攻を決して許さないなどという嘘や誤った情報を並べ立てた。ゴーサインを出したホワイトハウスの意向に従ったトルコに対し、トランプ大統領は公式声明とエルドアン大統領への手紙という形で、経済制裁をちらつかせて脅しをかけたのだ。もちろん、そんなことでトルコの独裁者による軍事攻撃を止められる訳がない。
トランプ大統領は襟を正し、先方へ電話を掛けて話し合うべきだ。