「今こそ恩返ししたい」西日本豪雨の被災者、台風19号被災地支援へ

昨年7月の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町地区の女性が20日、ボランティアをするため台風19号の被災地・茨城県常陸太田市に向けて出発する。「私は県外など遠くから駆けつけてくれた友人たちや、汗だくで炊き出しをしてくれたボランティアの皆さんに助けられた。今こそ恩返しをしたい」と誓う。
女性は荻野麻美さん(34)。豪雨に見舞われた昨年7月6日夜は、1、2階がつながったメゾネットタイプのアパートの2階の部屋で過ごした。翌朝、1階の玄関ドアが水圧で開かなくなっていた。少しずつ増していく水位に恐怖を感じて2階から救助を求め、偶然通りかかった自衛隊員に助けられた。
自宅アパートや実家の片付けなどは大勢の友人が駆けつけて手伝ってくれた。ただ一段落して皆が帰ると孤独感が募った。「一人でいると涙がこぼれそうになった」
家を失い、親戚宅などを転々とした後、地元の小学校の体育館で約1カ月、避難生活を送った。段ボールベッドで寝起きする毎日。水に沈んでいく夢を見て、うなされる人もいた。
そんな時、避難所で無料カフェを開いていた復興支援ボランティアの茅野匠さん(47)=岡山市=と出会った。誘われてカフェを手伝うようになり、コーヒーなどを勧めながら避難者に話しかけた。家の片付けの進み具合や、風呂の無料開放といった生活情報から、とりとめのない話まで。「同じ境遇だからこそ、私も気持ちをはき出せた。人が集うカフェは自分にも『救い』だった」

市外のみなし仮設住宅に移ってからも、茅野さんらと真備の復興支援に携わった。今年3月、茅野さんがNPO法人「災害支援団Gorilla(ゴリラ)」を発足させると、迷わず参加した。
西日本豪雨を経験し、自分の変化を実感している。「これまで災害のニュースが流れても人ごとだったけど、今ではそうはいかない」。台風19号の被災地に、真備などの住民から集まった支援物資を届ける話が持ち上がった時には自分から手を挙げた。
現地では約1カ月間、炊き出しなどのボランティアをする予定。避難所に憩いの場を作って話し相手になりたいとも考えている。「急がなくていい。きっといつか笑える日が来るから」と伝えるつもりだ。【林田奈々】