ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会準々決勝のイングランド―オーストラリア戦があった大分市の昭和電工ドーム大分。3万6954人の観客を集めて熱戦が繰り広げられたグラウンド脇には、試合をサポートする「ボールパーソン」の竹田高ラグビー部3年、小澤雄仁(かつひと)さん(18)の姿があった。高校ではたった一人のラグビー部員だが、世界トップレベルのプレーを目の当たりにしてラグビーの魅力を再確認した。【尾形有菜】
ボールパーソンは、試合中にグラウンド脇にいて、ボールが外に出れば選手に予備のボールを手渡したり、出たボールを回収したりする役割。今大会では全会場で地元の高校生がボールパーソンを務め、毎試合、計10人がグラウンドを囲むように待機している。
県内では昨年9月から募集が始まり、高校生約100人から応募があった。小澤さんは「W杯の試合を間近で見られる一生に一度のチャンスだ」と思って応募。県ラグビーフットボール協会の面接を経て選ばれた計20人に入ることができた。
試合をスムーズに進めるために欠かせない重要な役目とあって、W杯開幕までに高校や大学の試合でボールパーソンとしての経験を積んで本番に備えてきた。デビュー戦となった5日のオーストラリア―ウルグアイ戦では「背中で観客の熱気を感じ、W杯はすごいと思った」という。
小澤さんは、高校入学後に先輩の勧誘を受けるなどしてラグビーを始めた。当初は「痛くてきつそう」と戸惑ったが、続けるうちに「体格の大きなフォワードの選手がビッグゲイン(前進)する姿がかっこいい」とのめりこんだ。しかし、5人いた部員は2年になると先輩の引退などで小澤さん一人になった。
竹田高ラグビー部は1947年創部。55年には全国高校ラグビー大会県予選で花園出場一歩手前の準優勝を果たすなど歴史あるチームだ。小澤さんは「自分が辞めたら部の歴史の幕が閉じてしまう。何とか存続させたい」とOBの外部コーチの指導を受けて練習を続け、試合は他校との合同チームのメンバーとして出場している。
こうした苦しい日々の中で体験したW杯はまさに夢の舞台。2回目のボールパーソンを務めたこの日、小澤さんは「自分や仲間を信じて突き進む姿はやっぱりかっこいい。ぜひラグビー部を存続してこの面白さを多くの人に感じてほしい」と話した。