京アニ放火 事件現場の献花台と供え物はどこに行くのか

アニメ制作会社「京都アニメーション」(以下「京アニ」)で起きた放火殺人事件。8月27日、京都府警は犠牲者35人のうち公表していなかった25人の身元を明らかにした。
「犠牲者は『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年)や『響け!ユーフォニアム』(2015年)といった人気作品でキャラクターデザインを手がけた池田晶子さんをはじめ、京アニ作品になくてはならないクリエイターばかりでした」(社会部記者)
多くの人気作を輩出してきただけにファンの悲しみも深い。一夜明けた28日、放火被害にあった第一スタジオ周辺にはニュースを聞いてかけつけたという愛知県在住の30代男性の姿があった。ただ、供えるつもりだった生花を手にしながら困惑した様子だ。
「いてもたってもいられず、花を手向けにきましたが、献花台が撤去されているんです。路上に置くわけにもいかず、どうしたらいいのか……」
事件直後には花束やメッセージを供えるために日夜を問わず列をなしたファンの姿もまばらになっていた。
25人の犠牲者公表の約1週間前、京アニは以下の発表をしていた。
〈あの日から一か月が経過しましたことを節目に、8月25日(日)をもちまして、献花台の設置を終了させて頂きます〉
背景には近隣住民への配慮があり、〈第1スタジオへのお立ち寄りや写真撮影など、日常生活に影響を及ぼす行為はお控えいただきますようお願い申し上げます〉と記されている。同社の代理人弁護士も「やむを得ない措置とご理解いただきたい」とした。置かれていた大量の献花や供え物は、「会社が責任を持って管理する」とだけ説明した。
そのなかで、9月5日に迎える四十九日を控え、ファンからは追悼の場を求める声があがっているという。
「お別れの会が開かれる予定ですが、時期は決まっていません。それまではアニメの舞台となった“聖地”とされる京都市の商店街や滋賀県の小学校がファンの祈りを捧げる場となるようです」(前出・社会部記者)
献花台はなくなっても、ファンや関係者の悲しみが癒えるまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。
※週刊ポスト2019年9月13日号