台風19号による岩手県内の被害は、記録的な降水量に山からの土砂流出が加わって拡大した。大雨から一夜明けた20日には、各地でボランティアが復旧作業に汗を流した。
宮古市の重茂半島の宮古湾に臨む白浜地区では「山津波」と呼ばれる土石流が発生し、住宅が全壊するなどの被害が出ている。
白浜地区は民家62世帯が浜から山の中腹付近まで散在。集落にある白浜沢を土石流が下り、土砂が民家に流れ込んだ。
被害は沢の上の「1番組」と呼ばれる地区に特に集中。住民によると13戸ある住宅のうち、5戸が全半壊した。石と泥を巻き込んだ雨水が地元の住民の言う「山津波」となって集落をのみ込んだ。壊れて形をとどめない民家や、土台をえぐられて傾いた住宅など惨状があちこちに見られ、沢には柱やトタン屋根、畳や衣類などが散らばっていた。
白浜自治会長を1月まで17年務めた下川信義さん(77)は「90歳を超える近くのおばあさんが話すには、白浜で昔、大きな山津波に見舞われたことがあり、海からの津波共々恐れていた」と声を震わせた。
この日は宮古高校野球部の生徒らボランティアが、自衛隊員と共に側溝の泥をかき出した。東日本大震災後に完成したコンブの乾燥施設も泥に覆われ、漁師家族らがスコップで泥かきをしていた。【鬼山親芳】