大人の学園祭? ハロウィーンをどう楽しむべきか

ハロウィーン(10月31日)をどう楽しむべきか。クリスマスなど海外由来の祭りについて考察を続けるコラムニストの堀井憲一郎さん(61)に尋ねた。堀井さんは「輸入されて歴史が浅いのだから楽しみ方がバラバラなのは当然だ。ハロウィーンはお金もかからず、参加を強制されない『大人の学園祭』。それぞれがそれぞれに楽しめばいい」と呼びかける。
堀井さんは2017年10月に発刊した「愛と狂瀾(きょうらん)のメリークリスマス」(講談社現代新書)で、明治期以降の新聞記事などを振り返り、「日本人は大騒ぎすることでクリスマスから宗教性を取り除いた」と分析した。宗教性が失われている点はハロウィーンも共通しているとみる。
一方で異なる点もあるという。クリスマスはバブル期以降、恋人たちのものとなり、プレゼントなどにかかる費用も高額になっていった。しかし、ハロウィーンは①1人でも参加でき、参加を強制されない②高額なプレゼントなど費用がさほどかからない③仮装の出来によって承認欲求も満たされる。こうした特徴は、同じく秋に開かれることが多い高校や大学などの学園祭にも通じると指摘する。
路上に群衆があふれる渋谷駅周辺の繁華街、厳しい規律の下で楽しむ池袋のコスプレイベント、身近にありそうな仮装で知恵を競う「地味ハロ」。東京を舞台とする三つのハロウィーンをどう受け止めるのか。堀井さんは「『地味ハロ』は映像を見て思わず噴き出すほど面白い。池袋はハロウィーンというよりもコスプレ大会で熱量が高い」とそれぞれ評価する。暴徒化が問題になる渋谷駅周辺の繁華街についても、「自然発生的なので規制は難しいが、(東京都渋谷区が条例化した)飲酒禁止は行き過ぎにも思える。かわいいもんじゃないの」とおおらかに語る。
堀井さんは、各地でさまざまな表情を見せるハロウィーンについて「ハロウィーンにかこつけているだけで、実態は学校を卒業しても楽しめる『大人の学園祭』。昔で言えば秋祭りだと思う。不況やネット社会の進化など現代日本の特徴も表れている。それぞれがそれぞれに楽しめばいいと思う」と話している。【日野行介】