台風19号の大雨で浸水した住宅から出る家具などの「災害ごみ」が、茨城県内の仮置き場に山積みとなっている。被災した各自治体では、災害ごみの総量を推計できておらず、すべてのごみの回収や処理の見通しは立っていない。【佐藤則夫、鳥井真平】
久慈川が氾濫して浸水被害を受けた常陸太田市松栄町では、泥水につかって使えなくなった家財道具が県道61号の歩道に山積みになっていた。20、21日に自衛隊などが回収を進めた。
災害ごみは原則として、各家庭が地域で定められた仮置き場に持ち込むことになっているが、常陸太田市で被害が大きかった松栄町、新地町、花房町では、特例で道路脇に置くことを認めている。
同市新地町で自宅が浸水した会社員、鈴木直人さん(56)は自宅前の道路に水につかった畳などを置いた。「ここまで運ぶのが精いっぱい。大きすぎて乗用車では運べないので助かった」と話す。
災害ごみは市などの委託業者がトラックに積み込み、仮置き場に運搬しているが、回収は思うように進んでいない。同市宮の郷町の空き地に設置された仮置き場では、ごみを積んだトラックが1日平均300台前後出入りする。
常陸大宮市でも大量の災害ごみが発生している。市内4カ所の仮置き場のうち、1カ所は既に満杯になったため、18日に1カ所新設された。住民の片付けが進むにつれ、ごみはさらに増える。市の担当者は「ごみの量がどのくらいあるのかも推定できず、処理費用も算定できない」と頭を抱える。
那珂川や支流が氾濫して広範囲が浸水した水戸市では、被災者の住宅前にごみを出してもらい、市の依頼を受けた業者が市内3カ所の仮置き場まで運んでいる。
ただ、住宅前の道路のスペースは限られているため、ごみを小分けにして何度も出す被災者が目立つという。片付けるペースも人によって違うため、市の担当者は「回収しても回収してもまた出てくる状態」と話す。多くの被災者は可燃と不燃を分けずに出すため、市側で分別する手間も余計にかかる。
県によると、2011年3月の東日本大震災では県内で約85万トンの廃棄物が発生し、処理に約3年かかった。15年の関東・東北豪雨では常総市で約5・2万トン発生し、処理に約1年かかった。
建物被害4000棟超
県災害対策本部のまとめでは、22日午後3時現在で損壊したり浸水したりした建物は4000棟を超えた。内訳は全壊246棟、半壊1845棟、一部損壊599棟。床上浸水は996棟、床下浸水は724棟に上った。