台風19号による高潮や強風で世界文化遺産・富士山の構成資産、三保松原(静岡市清水区)のマツ15本に根の浸食や幹折れの被害が発生した。県や市は今後、土壌の塩分濃度が高まることで植物が枯れる塩害被害が拡大する恐れがあるとみており、「危機感を持って対応する必要がある」としている。【山田英之】
三保松原は約7キロの海岸に約3万本のマツが生い茂る景勝地。江戸時代の浮世絵師、歌川広重の作品にも描かれた。
市によると、15本の内訳は高潮被害9本、強風による被害6本。市は土の中の塩分濃度を薄めるため、散水を実施した。土が浸食されて露出した根を埋め戻すことも検討している。天女伝説で知られる「羽衣の松」や、神の通り道とされる松並木「神の道」に被害はなかった。
市は塩害でマツが枯れる被害が、今後2年程度続く可能性があり、引き続き注意が必要としている。三保松原は台風による塩害で、2017年度に約200本のマツが枯れた例があるという。
「三保松原保全実行委員会」(座長・難波喬司副知事)が18日に県庁で開かれ、終了後の取材に難波副知事は「台風通過後、現場を見た。海水をかぶっていて、希少なマツがやられてしまう恐れがある」と語った。岡村渉・静岡市文化財課長は「海水をかぶったことで枯れ、切らなくてはならないマツは今後、増える恐れがある」と述べた。
国重文の邸宅地下室で漏水も
三保松原以外にも、国の重要文化財や国指定史跡など文化財の被害も続々と明らかになっている。
県によると、国重要文化財の旧日向家熱海別邸地下室(熱海市)で天井、壁から漏水した。国指定史跡は、山中城跡(三島市)で堀ののり面が崩落した。箱根旧街道(三島市)で倒木が複数。韮山反射炉(伊豆の国市)は、発掘調査中の壁が一部崩落した。反射炉自体に被害はなかった。小島陣屋跡(静岡市)で倒木が1本あった。
県指定天然記念物は、「東山のサイカチ」(御殿場市)が根元から2メートル辺りで折れた。「富士岡地蔵堂のイチョウ」(富士市)は、枝が折れて落下した。折れてつり下がっている枝もあった。
国の登録有形文化財は、中川家住宅(伊豆の国市)で雨漏り多数。旧マッケンジー住宅(静岡市)でも雨漏り、地下室が浸水した。
県指定史跡は、赤門上古墳(浜松市)で、古墳に生えている木が1本倒れた。吉田松陰寓寄処(下田市)で、史跡入り口にある門が倒壊、屋根の一部が強風で飛ばされた。