「怖いなんてもんじゃない」畳の隙間から一気に水噴き出し 妻と着の身着のまま避難 千葉・茂原

台風15号の暴風で甚大な被害を受けた千葉県を25日、今度は豪雨が襲った。10月の1カ月分の雨が半日で降るほどの記録的な雨に見舞われ、各地の河川で氾濫が相次ぎ、土砂崩れが発生した。交通機関は乱れ、駅や空港は足止めをくらった客らでごった返した。
千葉県茂原市では25日午後、一宮川の水があふれた。「怖いなんてもんじゃなかった」。川から約10メートルのところに住む丸島秀夫さん(67)、早苗さん(69)夫妻は命からがら自宅から逃げ出し、近くの工務店に身を寄せた。
自宅が浸水したのは、市が避難指示を出した約2時間後の25日午後2時ごろ。秀夫さんによると、「畳が浮き上がって隙間(すきま)から水が噴き出して、もう一瞬だった」。平屋の自宅に逃げ場はなく、着の身着のまま外に出ると、腰までつかるほど水が上がっていた。秀夫さんは足が不自由で、早苗さんが助けを求めに外に出て、近くの工務店の社員に助けてもらった。秀夫さんは「40年以上住んでいて水が来たのは2回目だが、今回はもっとひどい。布団もタンスも服もみんな水につかってだめになってしまった」と肩を落とした。
1人が死亡、1人が行方不明となった千葉市緑区誉田町の土砂崩れ現場では、住宅が大きく倒壊した。25日夜、投光器が照らす中、消防などが救助活動を続けた。一帯は停電し真っ暗な中、家から出てきた近所の住民らが心配そうに現場の方向を見守っていた。
市原市消防局によると、同市郡本では25日午後4時ごろ、土砂を詰めたフレコンバッグが崩れ、住人の女性(57)が土砂と民家の間に挟まれ、重傷を負った。【町野幸、金沢衛】