「のぼり旗が落ちてますよ」 新橋・宝くじの名所も狙われた“親切風窃盗団”の手口

幸運のシンボルとされる名所が、まさかこんな“不運”に見舞われるとは。10月14日、東京・新橋の宝くじ店が窃盗被害に遭い、警視庁が捜査に乗り出した。社会部記者が解説する。
「午後4時ごろ、外国人風の男が売り場ののぼり旗を持って『落ちてましたよ』と70代の女性従業員に声をかけた。従業員が外に出た隙を狙い、別の男が店に侵入。引き出しや金庫から現金約200万円を盗みだした。他に男2人が見張り役をしていたとみられます」
同店は新橋駅前のSL広場に位置し、数々の大当たりを出した全国的にも有名な売り場だった。さらに2日後にはこんな事件も。
「新宿・歌舞伎町の両替やブランド品の買取り・販売をしている店に、外国人風の3人組が出現。ショーケースにあったバッグを『見せてほしい』と英語で頼み、女性店員がカウンターの外に出た隙に1人が事務室に入って現金485万円、100ドル札100枚、100元札を200枚盗みました」(同前)
その1時間半ほど前にも、「近くの両替店に同じく『のぼり旗が落ちていますよ』と教えた隙に店に押し入ろうとして失敗した事件が発生。警視庁は手口や時期などから、宝くじ店と同一犯の可能性があるとみて捜査を進めています」(同前)
同様の犯罪に当面警戒する必要が……その理由とは
外国人風の男らは背が高くてがっちりとした体格だったという。被害に遭った歌舞伎町の店は英語・中国語の看板も掲げ、中国語対応の店員を置くなど、おもてなし精神にあふれた人気店。増える海外からの観光客へのきめ細やかな対応が、かえって仇となった格好だ。
警察庁の統計によると、日本人による窃盗では単独犯が9割を占めるが、来日外国人の場合は複数人による犯行が4割強。共犯人数が増えるほど分け前は減るが、それ以上のメリットがあるということだろう。
外国人犯罪に詳しい捜査関係者が指摘する。
「こうした組織的、詐欺的な窃盗は外国人犯罪グループの得意な分野のひとつ。店員と接触し、防犯カメラにも映るだけにリスクは大きいが、捕まる前に海外に出てしまえば、なかなか捕まらない。ヒットアンドアウェーでこうした犯罪を繰り返す集団は後を絶たない」
思い起こされるのが世界を舞台にした宝飾窃盗団「ピンクパンサー」。日本でも04年に約35億円、07年に約3億円の宝飾品を盗み、一部メンバーの身柄は12年に海外で確保されたが、捜査は難航した。
「こうした連中は比較的短い来日期間中、できるだけ犯行を重ねようとする。同様の手口には当面、警戒が必要だ」(同前)
親切心にもご用心、なんて寂しい時代が来たものだ。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月31日号)