運動会出られず
「どうせこれへんと思ってんのや」。大阪府八尾市立小で男子児童のいじめに遭って心的外傷後ストレス障害(PTSD)となり、不登校になった女子児童(11)は今月初めの運動会を前にそう言い、自宅で涙を流した。運動会の2日前、学校側は同級生が運動会で披露するダンスの振り付けを撮影したDVDを自宅のポストに入れていき、それを見てのことだ。
女児はいじめた男児への恐怖心や、訴えても守ってくれなかった学校への不信感から登校できない。でも、小学校生活最後の運動会に参加できないのは、残念な気持ちもあった。練習しても、もう間に合わない時期に、参加を促すかのようなDVDが届けられ、女児は感情を爆発させたのだった。母親(40)は「娘の状態はわかっているはずなのに、心の傷を深くしただけだ」と憤る。
「何も変わらぬ」
この問題で、市はいじめを認定。第三者委員会の調査報告書の認定事実の記述に、両親が異議を唱えたため、現在、再調査が行われている。とはいえ、いじめがあったことは確認され、6月19日に中山晶子教育長は「児童の心に寄り添えなかった」と謝罪した。両親は娘の学校復帰に向け、本格的な取り組みが始まるとも期待した。
しかし、母親は「何も変わらなかった」と話す。一方、市教委は「被害児の支援が最大の課題だと考え、丁寧なやりとりをしている」と反対のことを言う。母親の発言の真意はどこにあるのか。
無用の見守り表
端的に問題の現状を表しているかのように見えたのは、女児の自宅ポストに定期的に投げ込まれる、いじめ防止の見守り活動の担当表だ。登校日の時間を区切って、女児をどの教師が見守るかを決めて表にしたものだ。女児は不登校だから、現段階では表は無用だ。それなのに表は作成され、届けられ続ける。
市教委は「見守り体制の構築が女児の安心につながると両親から話があり、要望に応じたものだ」と説明する。これに対し、母親は「娘の登校時への配慮を文書で示してほしいとは言ったが、こんな無意味な表を求めたことは一度もない。この表のように、学校側の対応のほとんどがうわべだけのことのように感じる」と話す。
第三者委員会の調査報告書は、いじめを防げず、女児がPTSDを患うまでに至ったのは、学校と市教委が女児や両親の訴えをくみ取れなかったことが原因の一つだと指摘。報告書を受け、学校側は「女児や両親に寄り添う」と表明した。
それなのに、不信感が増すような対応が続いていると、母親が訴える現状がある。早急な対応の見直しが必要だろう。【戸田栄】