9人殺害はどんな事件だったのか 発生から2年

2017年10月30日夕、行方不明になっていた東京都八王子市の女性(当時23歳)の兄から相談を受けた警視庁高尾署の捜査員が神奈川県座間市のアパートの一室を訪ねたところ、室内から9人分の頭蓋骨(ずがいこつ)が見つかった。同庁捜査1課は翌31日、住人の無職、白石隆浩被告(29)を死体遺棄容疑で逮捕した。
白石被告は、女性の居場所を尋ねた捜査員に「ここにいます」と室内のクーラーボックスを指さし、女性の殺害と遺棄を自供した。頭蓋骨(ずがいこつ)はクーラーボックスなどに詰められ、他に約240本の人骨も見つかった。
警視庁は、室内にあった被害者の遺留品や、各地の警察に届けられた行方不明者の情報などを基に遺体の身元を特定した。被害者は15~26歳の男女9人(男性1人、女性8人)で居住地は東京、神奈川、埼玉、福島、群馬の1都4県にまたがっていた。
捜査関係者によると、白石被告は短文投稿サイト「ツイッター」で自殺願望をほのめかす女性をターゲットに「一緒に死にましょう」などとメッセージを送り、近付いていたとされる。実際に会った女性を自室に招き入れ、ロフトのはしごにかけたロープで首を絞めるなどして殺害。室内で遺体を解体し、遺留品などと共に周囲のゴミ集積所に捨てていたとみられる。発覚を免れるため、女性らに自殺願望を打ち明けないよう指南したり、携帯電話を捨てさせたりするなどの工作も行っていたという。
事件では、警察の対応も課題として浮かび上がった。6人目と7人目の被害者は福島市とさいたま市に住むいずれも17歳の女子高校生だった。福島、埼玉の両県警が、それぞれ携帯電話の位置情報を調べた結果、ともに白石被告のアパートから3軒隣に設置された基地局が最後の電波を拾っていた。だが、犯罪に巻き込まれた可能性は考慮されず、捜査は進まなかった。
東京地検立川支部は白石被告の精神状態を調べる鑑定留置を行い、完全責任能力があると判断。事件発覚から約10カ月後の18年9月、9事件すべてをそれぞれ強盗・強制性交等殺人や強盗殺人などの罪で起訴した。勾留中の白石被告は19年9~10月、毎日新聞の接見に応じ、動機について「金が欲しかった」などと話した。
事件を受け、政府はSNS事業者に対し、自殺助長の書き込み削除を徹底するよう求めた。NPO法人などがネットで自殺をほのめかす書き込みを探し、相談窓口を紹介する活動をしている。