長崎、佐賀県境の多良岳(983メートル)の中腹にある金泉寺(長崎県諫早市高来町)で26日、再建10周年を記念する「柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)」が開かれた。1200年前に弘法大師が創建したとされるが、檀家(だんか)はなく、荒れ果てていたところを地元の人たちが全国に資金を募って再建した。
寺の維持・管理をしている「太良嶽山金泉寺護持協賛会」によると、多良岳は古来、修験道の霊場で、最盛期には30余の僧坊に600人もの修行僧がいた。戦国時代のキリシタン大名、大村純忠の頃、金泉寺は焼き打ちにあい、江戸時代に諫早家の庇護(ひご)で再興したが、明治維新の廃仏毀釈(きしゃく)などで荒廃した。
荒れ放題の寺に心を痛めた同町出身の女性の働きかけで2006年に再建委員会が発足。全国の5900人以上から寄付金が集まった。標高約860メートルの寺まで建築資材を運ぶ作業道建設から始め、09年に本堂が完成した。
26日は、約200人の参拝者が見守る中、行者姿の僧侶約10人が、ほら貝を吹いて入場。剣や弓などを使って邪気を払う儀式をした後、ヒノキを組んで葉を盛った高さ約1・5メートルの護摩壇に点火。勢いよく立ち上る炎の中に、参拝者の願いごとが書かれた護摩木を次々と投げ入れた。火が残る灰の上を裸足で歩く「火渡り」も行われた。
有森隆英住職(62)は「支えてくださる皆さんのおかげで10年を迎えられた」と喜んだ。護持協賛会事務局長の山本秀範さん(69)は「高齢化で会員は当初の400人から240人に減ったが、金泉寺が多良岳の守り神であることを知ってもらい、これからも代々つないでいきたい」と話した。【足立旬子】