警察の証拠収集が「違法」 覚醒剤使用の罪に問われた女性に無罪判決 京都地裁

覚せい剤取締法違反(使用)に問われた30代の女性被告の判決で、京都地裁は29日、証拠が違法に収集されたとして無罪(求刑・懲役3年)を言い渡した。入子光臣裁判官は、覚醒剤の使用を疑った京都府警の警察官が承諾を得ずに女性宅の玄関に入ったのは「違法」と指摘。覚醒剤の陽性反応が出た尿は、その際に撮影した写真などを根拠に取得した令状に基づいて提出を受けており、証拠にならないと判断した。
判決によると、女性は昨年5月12日夜、京都市内のマンションの一室で、交際相手から暴行を受けていると110番した。駆け付けた警察官は、女性の感情の起伏が激しく、女性が覚醒剤の犯歴があると説明したため、マンション内の女性宅までついて行って玄関に入り、帰るよう求められても応じなかった。女性の両腕の注射痕を撮影するなどして強制採尿令状などを請求し取得。同18日に府警本部で採尿し、陽性反応が出たため緊急逮捕していた。
入子裁判官は「女性は暴行を受けて混乱した状態で覚醒剤使用の疑いは具体性に乏しかった。女性宅への立ち入りの必要性・緊急性はなかったか、相当に低かった」と指摘した。
京都地検の北佳子次席検事は「判決内容を精査し適切に対応したい」とコメントした。【添島香苗】