暗号資産(仮想通貨)事業の「ジュピタープロジェクト」の関連会社で、投資家から集めた資金の返還が滞るトラブルがあり、投資家11人は29日にも実質的運営者や元国会議員らを相手取り計約1億円の支払いを求めて東京地裁に提訴する。原告側によると、被害総額は約30億円にのぼるという。ジュピター元社員は「(実質的運営者に)エルメスの馬用の鞭でたたかれた」など、資金集めの実態を明かした。
訴状で被告に挙げられたのは、ジュピター関連会社で主に資金集めを行っていた「TMT」、ジュピターのプロジェクトリーダーという肩書を持ち、講演会にも登壇していた元衆院議員、ジュピターが登記上の社名を変えた「GLI GROUP」の代表取締役、元衆院議員や代表取締役がジュピターの実質的運営者と指摘する城浩史氏ら。
TMTは「極秘セミナー」と称して投資家を集め、ジュピターの開発費用として投資を誘い、3カ月後、1・5~2倍の高利回りで返金されるなどとうたっていた。
TMTに計約5000万円を支払った投資家の女性は、「元国会議員や大手企業の役員も参加していたことで信用してしまった。投資募集の締め切り期間も短く、じっくり検討する間もなく支払った。満期を迎えると『配当分も合わせて前回の投資金を次の投資にスライドすれば、さらに配当が増える』などと説明されて先延ばしされた。結局、『ポケットマネーで返す』と担当者から20万円を受け取ったきりだ」と話す。
前出のTMTをめぐっては、複数の元社員が、「受け取った金は、投資に使われることはなく、他の投資家への返済に充てられていたようだ」などとする陳述書を投資家側の代理人弁護士に提出している。
陳述書を提出した元社員らを代表して夕刊フジの取材に応じた男性は、城氏を中心とした資金集めについて、「社員にプレッシャーをかける目的で、頻繁に城氏による暴言や暴行があった。殴られたり蹴られたり、エアガンで撃たれたり、(激辛調味料の)『デスソース』を飲まされたり、(高級ブランドの)エルメスの馬用の鞭でたたかれたこともあった」と打ち明ける。
「給料が何カ月も支払われないこともあったが、城氏は高級外車を何台も持ち、財界人との人脈もあるといわれ、付いていけば報われると信じていた」という。
投資家側代理人の加藤博太郎弁護士は「元国会議員や元大手企業役員らの信用を借りて多額の資金を集める構図は非常に悪質で、詐欺的な要素が強い。中心人物の城氏は以前も類似のトラブルを起こしながら法人名を変えて集金を続けており、刑事事件化も視野に責任を追及しなければならない」とコメントした。