国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われた学校法人「森友学園」の前理事長・籠池泰典(本名・康博)被告(66)と妻・諄子(同・真美)被告(62)の論告求刑公判が30日、大阪地裁(野口卓志裁判長)で開かれ、検察側は両被告にいずれも懲役7年を求刑した。
検察側は「悪質であるにも関わらず、あたかも権力の被害者のように」「身勝手な態度に終始している」などと強く非難した。
対する弁護側は、要支援児の受け入れ補助金などでの泰典被告の不正は一部認めたものの「詐欺罪ではなく補助金適正化違反の成否が問われるべき」と主張。小学校建設に関連する詐取については「不公平な訴追は、夫婦が(安倍晋三首相の妻の)安倍昭恵夫人と親しくしていたことによる、忖度があったことは否定できない」と検察側を批判し、夫妻の無罪を主張した。夫婦間で共謀した事実はないとした。
最終陳述で泰典被告は「家内は冤罪であり無実。昭恵さんと親しかった家内を口封じのための共犯者に仕立て上げられた。大阪地裁特捜部の安倍(晋三)首相への忖度があったと確信しています」と主張。「公共放送で『詐欺を働く人』と発言した安倍首相を許すことはできない。私も家内も被害者」と訴えた後、「黄金の 夫婦(めおと)道中 日本晴」「秋錦 令和の武士(もののふ) ここにあり」と法廷内で、おなじみの俳句を2句詠んだ。
公判後の会見で、泰典被告は2つの句の意味を「いつまでも心を一つに夫婦で歩んでいきますよ」「ファイティングポーズよろしく、戦っていきましょうね」と説明。懲役7年の求刑には「検事さんが勝手に決めたこと」「三権分立がきちっとしていれば(大丈夫)…ハハハ」と笑い声さえ発するなど意に関せず、「罪作り これでもかと 押し込める」と、冤罪を詠み一句。さらに、この日朝に作ったという「霧深し 今朝の心は 日本晴」との句も笑顔で披露した。
公判はこの日結審し、判決は来年2月19日に言い渡される。