「令和おじさん」菅官房長官に吹き始めた逆風 経産相辞任、進次郎失速などで広がる批判

「令和おじさん」として人気が急上昇し、ポスト安倍の有力候補として「飛ぶ鳥を落とす勢い」(自民若手)だった菅義偉官房長官が、ここにきて政治的逆風にさらされている。 9月の内閣改造で初入閣して以来、公選法違反疑惑などを追及されて辞任した菅原一秀・前経済産業相は菅氏の側近でもあり、与党内で「閣僚に押し込んだ菅氏の責任が大きい」との批判が相次ぐ。菅氏が初入閣の仲介役とされる小泉進次郎環境相も、閣僚答弁などが「言語明瞭、意味不明」と批判され、抜群だった人気に陰りが生じている。 ■菅氏台頭を快く思わない議員が増えている 第2次安倍政権発足以来、菅氏はすでに7年近くも内閣の大番頭として安倍晋三首相を支えてきた。その一方、官僚組織を恐れさせる「菅流人事」で霞が関に君臨している。ただ、「強引ともみえる人事が、底流では官僚の恨みを買っている」(閣僚経験者)とされ、政府与党内でも「菅氏の台頭を快く思わない議員が増えている」(岸田派幹部)という指摘も少なくない。 それだけに、にわかに吹き始めた逆風に菅氏がどう対応するかが、「ポスト安倍」をめぐる今後の政局展開も絡んで注目されている。 菅氏がポスト安倍の有力候補に急浮上したのは、令和への改元がきっかけだ。4月1日午前に菅氏が新元号を発表したが、新聞各紙のほとんどは1面に令和の額を掲げる菅氏の写真を掲載した。国民の間では「令和おじさん」として人気が急上昇した。 30年前の平成への改元の際、平成の額を掲げて「平成おじさん」と呼ばれるようになった当時官房長官の小渕恵三氏(故人)はその後、首相の座を射止めた。そのこともあって、政界だけでなく国民の間でも「菅氏はポスト安倍の有力候補」との見方が広まった。 これに対し、菅氏は公式非公式の場を問わず「そんなことはまったく考えていない」と繰り返している。 ただ、菅氏とともに「政権の3本柱」と呼ばれる二階俊博幹事長は月刊誌のインタビューなどで「(総裁候補として)十分耐えうる人材」などと評価。「首相の意中の後継候補」(官邸筋)とされる岸田文雄政調会長の後見人である古賀誠・岸田派名誉会長も「菅氏は土の匂いのする政治家」などと表現し、菅氏を次期首相の有力候補に挙げている。 こうした状況の変化を受けて、菅氏は7月の参院選で安倍首相や小泉氏とともに全国を駆け巡った。 その一方、岸田派の重鎮で元自民党参院議員会長の溝手顕正氏が6期目を目指して出馬した参院広島選挙区(定数2)に、2人目の候補として「菅氏の子飼い」とされる河井克行衆院議員(現法相)の妻・案里氏を擁立。結果的に溝手氏が落選した。 ■小泉氏の環境相起用も後押し

「令和おじさん」として人気が急上昇し、ポスト安倍の有力候補として「飛ぶ鳥を落とす勢い」(自民若手)だった菅義偉官房長官が、ここにきて政治的逆風にさらされている。
9月の内閣改造で初入閣して以来、公選法違反疑惑などを追及されて辞任した菅原一秀・前経済産業相は菅氏の側近でもあり、与党内で「閣僚に押し込んだ菅氏の責任が大きい」との批判が相次ぐ。菅氏が初入閣の仲介役とされる小泉進次郎環境相も、閣僚答弁などが「言語明瞭、意味不明」と批判され、抜群だった人気に陰りが生じている。
■菅氏台頭を快く思わない議員が増えている
第2次安倍政権発足以来、菅氏はすでに7年近くも内閣の大番頭として安倍晋三首相を支えてきた。その一方、官僚組織を恐れさせる「菅流人事」で霞が関に君臨している。ただ、「強引ともみえる人事が、底流では官僚の恨みを買っている」(閣僚経験者)とされ、政府与党内でも「菅氏の台頭を快く思わない議員が増えている」(岸田派幹部)という指摘も少なくない。
それだけに、にわかに吹き始めた逆風に菅氏がどう対応するかが、「ポスト安倍」をめぐる今後の政局展開も絡んで注目されている。
菅氏がポスト安倍の有力候補に急浮上したのは、令和への改元がきっかけだ。4月1日午前に菅氏が新元号を発表したが、新聞各紙のほとんどは1面に令和の額を掲げる菅氏の写真を掲載した。国民の間では「令和おじさん」として人気が急上昇した。
30年前の平成への改元の際、平成の額を掲げて「平成おじさん」と呼ばれるようになった当時官房長官の小渕恵三氏(故人)はその後、首相の座を射止めた。そのこともあって、政界だけでなく国民の間でも「菅氏はポスト安倍の有力候補」との見方が広まった。
これに対し、菅氏は公式非公式の場を問わず「そんなことはまったく考えていない」と繰り返している。
ただ、菅氏とともに「政権の3本柱」と呼ばれる二階俊博幹事長は月刊誌のインタビューなどで「(総裁候補として)十分耐えうる人材」などと評価。「首相の意中の後継候補」(官邸筋)とされる岸田文雄政調会長の後見人である古賀誠・岸田派名誉会長も「菅氏は土の匂いのする政治家」などと表現し、菅氏を次期首相の有力候補に挙げている。
こうした状況の変化を受けて、菅氏は7月の参院選で安倍首相や小泉氏とともに全国を駆け巡った。
その一方、岸田派の重鎮で元自民党参院議員会長の溝手顕正氏が6期目を目指して出馬した参院広島選挙区(定数2)に、2人目の候補として「菅氏の子飼い」とされる河井克行衆院議員(現法相)の妻・案里氏を擁立。結果的に溝手氏が落選した。
■小泉氏の環境相起用も後押し