「明浄学院」資金流用事件 大阪の大手不動産会社を捜索

学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)で、土地売却の手付金21億円が所在不明になるなどした資金流用事件で、大阪地検特捜部は30日午前、大阪市中央区の大手不動産会社「プレサンスコーポレーション」(東証1部上場)に対し、業務上横領容疑で家宅捜索を始めた。土地は、同社が最終的に取得する予定だったという。特捜部は関係者から事情を聴き、資料を押収して21億円が不明になった経緯や土地取引について詳しく調べる。
法人は2017年7月、運営する明浄学院高校(大阪市阿倍野区)の土地の一部(約7300平方メートル)を大阪市内の不動産開発会社に約32億円で売却する契約を締結。手付金として受け取った21億円全額を別の不動産仲介会社「サン企画」(同府吹田市)に預けたが、すぐに全額が元理事長の女性(61)の関係先に送金され、所在不明になっている。
法人関係者や内部文書によると、プ社と法人は同年6月、土地は最終的にプ社が不動産開発会社から同額で購入する取り決めを交わしていたという。プ社が購入を希望していたが、法人への悪評があるため直接契約できず、いったん不動産開発会社が買い受ける形を取ったという。
プ社には30日午前9時半ごろ、特捜部の係官が捜索に入った。プ社の担当者は取材に「明浄学院の関係先として捜索を受けた。捜査には全面的に協力する」と答えた。
法人登記簿によると、プ社は1997年設立で、資本金は約24億円。民間信用調査会社によると、ファミリー向けや投資用マンションの開発・販売を中心に行い、今年3月期の売り上げは1458億円。
法人の疑惑を巡っては特捜部が29日、法人本部やサン企画、不動産開発会社などを業務上横領容疑で捜索している。【松本紫帆、山本康介、森口沙織】