九州大学地震火山観測研究センターの研究者や行政の防災関係者ら約80人が28日、雲仙・普賢岳の噴火で誕生した平成新山(1483メートル)の頂上で、不安定な状態で堆積(たいせき)している溶岩ドームの変化を調査した。同センターは「噴火の兆候はないが、溶岩ドーム崩落の危険性は依然続いている」と注意を呼びかけた。
年2回実施している視察登山で、毎回参加する島原、雲仙両市や警察、消防などと情報を共有している。一般登山者が立ち入れない警戒区域内のルートを山頂まで登り、溶岩の隙間(すきま)から上がる噴気(水蒸気)の温度を調べた。
噴気は5月の調査時より5度高い91度だったが、九大の清水洋センター長(63)は「火山活動が落ち着いた1995年の調査開始時は700度を超えていた。平成新山の沸点温度の約95度を超えておらず、火山としては静かな状態が続いている」と話した。【近藤聡司】