障害者の搭乗拒否「人権侵害」 日弁連、シンガポールの航空会社に改善要望

電動車椅子を利用する男性を航空機に搭乗させなかったのは人権侵害に当たるとして、日本弁護士連合会は30日、シンガポールの格安航空会社「ジェットスター・アジア航空」に対し、改善措置を講じるよう求めた要望書を公表した。
日弁連によると、搭乗を拒否されたのは、兵庫県の40代の男性。脳性まひにより自力で歩くことができず、普段から車椅子を利用している。男性は2014年9月10日、「単独でトイレに行けない」との理由で、同社からバンコク―福岡便への搭乗を拒否されたが、翌日に同社の別の航空機で帰国した。
男性は15年5月、日弁連に人権救済を申し立てていた。
日弁連は29日付の要望書と調査報告書で、男性が過去にも機内用の車椅子を使うなどして1人でトイレまで移動していたと指摘。搭乗拒否は「男性の身体状況などの不正確な理解・情報に基づいてなされた」とし、人権侵害に当たると認定した。
そのうえで同社に対し、搭乗条件に該当するかを合理的に判断するためのマニュアルの整備、障害者の権利に配慮するための社員研修を行うことを要望した。
同社は「(日弁連の)要望内容を丁寧に確認したい」とのコメントを出した。【服部陽】