「言葉の壁」超え方伝授 外国出身の子供に日本語教室200回 香川・丸亀

香川県丸亀市の城乾コミュニティセンターで開かれている小中学生向けの日本語教室「まるがめ子どもにほんごひろば」が、2012年の開講から200回を迎えた。ボランティアによる運営に支えられ、異国の地で生きる子供たちの居場所となってきた。節目を記念した今月26日の教室には来春県内で就職することが決まっている外国出身の男性2人が特別参加し、言葉の壁に直面しながらも道を切り開いていった経験を“後輩”たちに伝えた。【金志尚】
丸亀市内にはペルーや中国、フィリピンなどにルーツを持つ住民が多く、ひろばはその子供たちの受け皿になってきた。当初は小中学校の長期休みに開かれていたが、15年から月2回、さらに17年からは週1回(毎週土曜)に拡充。参加は無料で、毎回6、7人が集まってくる。
26日の教室では、事務局長の安藤州一さん(70)が親交のあるパキスタン出身のセイエッド・サルマン・ラザさん(19)=綾川町=と、フィリピン出身の荒井カーロさん(22)=高松市=に依頼し、子供たちに経験を伝えてもらうミニ講演会が開かれた。
セイエッドさんは父の仕事の関係で12歳の時に来日。だが中学では日本語が分からず、授業の理解に苦しんだ。それでも辛抱強く学校に通い続けたことで、「先生たちも『助けてあげよう』となってくれた」。卒業後は私立高校に進学。そこで自動車整備士になる目標を見つけ、さらに専門学校へ進んだ。来春からは念願の自動車会社で働く。「諦めなければ絶対に道は開ける」

荒井さんも12歳の時に来日。言葉の理解が不十分なため、2学年下の小学4年に編入したという。中学を経て、高校は定時制を選択。卒業後はセイエッドさんと同じ自動車整備士を目指し、専門学校に進んだ。就職先も既に決まっている。「今は夢がなくても、学校に通っていれば見つかる」と進学の大切さを伝えた。
外国にルーツを持つ子供たちは、言葉の壁や身近にロールモデルが少ないことから将来の展望を具体的に描きにくいという課題がある。安藤さんは「子供たちが日本での生活に希望を持てるようなきっかけ作りをしていきたい」と話す。今後も日本語教育を柱にした支援を続けていく考えだ。