生活保護受給者「ストーブ代不支給は違憲」と行政訴訟

壊れた石油ストーブの買い替え費用が生活保護費で認められないのは憲法違反などとして、札幌市白石区の50代男性が29日、不支給を決定した市を相手取り、取り消しを求める行政訴訟を札幌地裁に起こした。原告側代理人によると、訴訟に発展するのは異例で、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条に反する違法な決定」と訴えている。
訴状などによると、男性は心筋梗塞(こうそく)や動脈硬化症などを患い、2013年11月から生活保護を受給。17年12月に約20年使っていたストーブが故障したため、生活保護費の臨時費用として新しいストーブ代1万3590円の支給を申請した。
生活保護制度では、食費や家賃といった日常的な経費に充てる費用のほか、臨時にやりくりが困難となった場合は「一時扶助」として支給される。
一方、エアコンやストーブ購入費の支給は保護の開始時や転居時などに限られ、市は男性の申請を「要件に該当しない」として却下。男性は道に審査請求したが道も棄却し、現在は厚生労働省に再審査を請求中という。
代理人の高崎暢弁護士は「北国においてストーブは命に関わる必需品。生活保護の支給額も下がる中、購入費を積み立てるのは不可能だ。裁判を通して、妥当な制度に改まるようにしたい」と話した。【源馬のぞみ】