橋を渡り切ったところに濁流が…53歳女性「仕事熱心」家族ら悲痛 千葉大雨

千葉県と福島県で死者13人を出した台風21号などによる豪雨は、1日で発生から1週間を迎えた。10月29日に千葉県茂原市内長谷で亡くなっているのが見つかった同市山崎の派遣社員、田辺みち子さん(53)は帰宅途中に氾濫した豊田川の水に足を取られ、流されたとみられている。突然訪れた早すぎる別れに、家族は無念さをにじませた。
みち子さんは母と兄姉との4人暮らし。大雨に見舞われた25日朝、市内の職場に向かおうとするみち子さんを母の喜子さん(86)が引き留めたものの、みち子さんは電動自転車に乗っていつもと同じ時間に家を出た。
午後になって雨脚が強まると市内のいたるところで川が増水し、道路が冠水する。みち子さんの職場では帰宅の指示が出たという。
豊田川の近くに住む主婦の佐藤節子さん(71)らが自宅に向かっていたみち子さんとみられる女性の姿を目撃していた。赤いかっぱを着て自転車を押していた女性は橋を渡り切った直後に膝丈ほどある濁流にのみこまれ、川に落ちていった。濁流を前に佐藤さんたちにはどうすることもできなかった。
10月25日夜、出張先から帰ってきた兄の元晃さん(60)は動揺する喜子さんから「みち子が帰って来ない」と聞いた。朝になり元晃さんがみち子さんの通勤経路を車でたどると、道路は冠水したままで川の水は引いていない。無事を祈り続けたものの、大雨から4日後、目撃情報のあった橋から約100メートル下流の竹林でみち子さんが見つかった。
「家では頑固。外ではきまじめで仕事熱心だった」。元晃さんはみち子さんの人柄をそう語り「いつも台風に警戒していたつもりだった。まさかこんなことになるなんて……」とうつむいた。【加藤昌平】