日露両政府の共同経済活動の試行事業として北方領土・国後、択捉の両島を訪れていた初の観光ツアーが2日終了し、一行はチャーター船「えとぴりか」で北海道根室市の根室港に戻った。荒天のため当初の予定を1日繰り上げたが、参加者の多くは初めて見た北方領土の自然の雄大さに満足した様子だった。
ツアーは「島の特性に応じた観光ツアーの開発」に向け、宿泊施設や移動手段などの課題を洗い出し本格的な実施につなげる狙い。政府同行者らを含め44人が10月30日から訪問。国後島のローソク岩や択捉島の温泉施設などを訪れ、島民とも交流した。
下船した東京都武蔵野市の田上由美子さん(66)は「択捉島の滞在が2時間弱で本当に残念でした。せめて4、5時間ぐらい居られたら良かった」と悔しそうな表情。国後島の日本人墓地を訪れた際の心境に触れて「日露がもっと仲良くなって自由に行けるようになれば」と語り、先祖の墓参りすら満足にできない元島民の心情に思いを寄せた。
観光庁の加藤進審議官は「島の特性に応じたツアー開発の試験的な実施だった。どういう課題があるのか精査したい」と述べた。【本間浩昭】