岩手・山田の小学校 海と生きる姿描く劇が終演「最高の舞台になった」

東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県山田町の大沢小(多田敢=つよし=校長)で3日、30年以上続いてきた全校児童による劇「海よ光れ」の最後の上演があった。震災直前に100人以上いた同小の児童は今年度、71人まで減った。来春には同様に児童数が減った近隣の5校と統合されるため、劇は今回を最後に幕を下ろす。
同小の教員だった箱石敏巳さん(78)が、郷土史と学校教育を融合させたいと脚本を書き、1988年に始まった。5、6年生が村人役となり、1~4年生は波を表現する。明治以降、海を巡る環境は乱獲から保護へと移り、漁獲量は減少。明治(1896年)と昭和(1933年)の2度の三陸大津波で、町は壊滅的な被害を受けた。それでも、スルメイカ漁や捕鯨を通して海から恵みを受けてきた町民の姿を描き、海を守る大切さも訴えている。
児童は郷土学習で劇に使う地元産のスルメイカを加工し、町民は大漁旗や昔の漁具を提供するなど、手作りで受け継がれてきた。震災以降は「思い出してつらい」という声に配慮し、明治の大津波で逃げ惑う人や荒れ狂う波の描写をカットした。
劇の最後、全校児童が「育ててくれた山田の海よ 大人になっても忘れない たとえふるさと離れても」と歌うと、集まった500人以上の町民や卒業生は涙をこぼした。6年生の三上乃愛さん(11)は「子どもからお年寄りまで総出で漁や加工に精を出してきた、活気あふれる故郷を見てもらえた」。芳賀遼太さん(12)は「祖父に教わりながら覚えた魚や岩礁の名前を言えた。助け合って海とともに生きる大切さを伝えられた、最高の舞台になった」と振り返った。【中尾卓英】