「ノドグロ」を地域名産に 新潟県立海洋高 アカムツの人工授精・ふ化に成功 高校では全国初

ノドグロの名で知られ、白身のトロとも呼ばれる高級魚アカムツの人工授精と人工ふ化飼育に、新潟県立海洋高校(糸魚川市)と近畿大学(東大阪市)が成功した。新潟市水族館「マリンピア日本海」などのグループが2013年に世界で初めて成功し今回は2例目。高校では全国初という。【浅見茂晴】
適切な採卵、飼育のノウハウも実験で調べ、10%の生存率を達成。育てた稚魚を海に還す「種苗放流」にめどがついた。同高は「3年以内に1000匹単位の放流をしたい」と話し、地域のブランド化を目指す。
今年9月、同高の生徒と教諭、同大実験場の職員が、糸魚川市の能生沖で捕獲したアカムツから150万粒以上を採卵した。船上で人工授精させ、同高と同実験場の2カ所に分けて飼育。45日齢まで育てるのに成功し、稚魚は体長8~9ミリに成長した。同高では50匹、同大は200匹を飼育している。
アカムツの生態は分かっておらず、採卵、飼育ともまだ手探りの状態だ。これまでは深夜に捕獲していたのを、今回の実験では日没後に変更したことが、多くの採卵につながったとみられる。また同高が水温を19度から23度までの4段階に分けて飼育したところ、19~20度で生存率が10%と最も高くなり、種苗放流の実現に向けて大きく前進した。
アカムツは脂がのって人気があるが、漁獲量は減少傾向で不安定なため、地元では養殖や栽培漁業を求める声が上がっていた。近大は一足早く2015年度に着手。両者は昨年10月、養殖技術の確立に向けて「アカムツ等の養殖および種苗生産に関する高大連携協定」を結んでいた。
10月31日に糸魚川市の能生漁港内にある海洋高校栽培漁業臨海実習棟で記者会見した椎谷一幸校長は「アカムツの名産地を目指す上で大きな一歩となった」と評価。近大水産研究所富山実験場の家戸敬太郎場長は「2、3年で出荷を目指したい」と話した。今後は餌などを替えて生存率を上げ、5~10万匹の種苗放流を目指す。
また、ふ化させた魚を育てて再び採卵し、ふ化させる「完全養殖」は近大が研究を引き継ぎ、将来的には1万匹の生産を目指す。