福岡・妻子3人殺害で元巡査部長「間違いなく冤罪」 初公判で無罪主張

福岡県小郡市の自宅で妻子3人を殺害したとして、殺人罪に問われた元福岡県警巡査部長、中田充(みつる)被告(41)=懲戒免職=は5日、福岡地裁(柴田寿宏=としひろ=裁判長)であった裁判員裁判の初公判で「一切身に覚えがなく、事実無根。間違いなく冤罪(えんざい)です」と無罪を主張した。
起訴状によると、中田被告は2017年6月5日夜から6日朝の間に、自宅で妻由紀子さん(当時38歳)の首を圧迫し窒息死させ、長男で小学4年の涼介さん(同9歳)と長女で小学1年の実優(みゆ)さん(同6歳)をひも状のもので首を絞めて殺害したとされる。
中田被告は4人暮らしで、妻の遺体は1階台所であおむけで、子供2人は2階寝室でうつぶせの状態で見つかった。司法解剖の結果、死亡推定時刻は妻が6日午前0~9時、子供2人は同0~5時とされる。
検察側は冒頭陳述で、被告は05年の結婚後、生活態度などに関して妻から繰り返し叱責されるようになり、残業と偽って家に帰らなくなるなど夫婦関係が悪化。同僚に「(妻に)死んでほしい」と話し、事件前には離婚話も出ていたと背景を説明した。
「被告による犯行を直接証明する証拠はない」と認めた上で①被告が事件当日は家にいた②携帯電話のアプリに死亡推定時刻の6日未明に被告が活動していた記録がある③妻子の周りにライターオイルがまかれており、被告の勤務先のロッカーに使い残しのライターオイルが保管されていた④第三者の犯行がうかがえない⑤妻の首から被告と妻の混合DNAが検出された――などと指摘。こうした状況証拠を積み重ねて有罪を立証すると述べた。

一方、弁護側は検察側が示す状況証拠について「本当に被告が死亡推定時刻に起きていたと言えるのか」などと疑問を呈し「第三者による殺害の可能性も排除できない」と反論した。
公判では警察官や法医学者など32人の証人が採用され、結審まで10回の審理が予定される。審理が複雑かつ長時間になることが予想されるため、裁判員が争点などを整理しやすいように、検察側による最終論告(求刑)と弁護側による最終弁論よりも前に、中間論告と中間弁論が設定されている。判決は12月13日に予定されている。
中田被告は02年10月に任官。警察署の交番や自動車警ら隊などを経て、事件当時は県警通信指令課に勤務していた。【宗岡敬介、平塚雄太】