内閣官房副長官を歴代最長の8年7カ月務めた古川貞二郎氏(85)が、実母の生涯を題材にした小説「鎮魂 ハルの生涯」(文芸春秋企画出版部、税込み1650円)を出版した。生まれ育った佐賀県の農村を舞台に、戦中戦後の郷里の暮らしを伝える「近代市民史」となっている。
小説では古川氏自身も、戦争が迫る中で幼少期を過ごしたハルの息子「伸二」として登場。自然の中で魚捕りなどに明け暮れて成長していく姿が描かれる。家族のために生き抜いたハルの心境も書き込んでいる。古川氏は「人々が『時代』に支配されながらも考え、生きた明治、大正、昭和の時代背景を知ってもらいたいと思って書いた。今の時代にも通じると思う」と語った。
古川氏は九州大を卒業して旧厚生省に入省。平成の代替わり(1989年)時は、竹下内閣の首席内閣参事官として事務方の責任者だった。95~2003年に官房副長官を務め、村山、橋本、小渕、森、小泉の5内閣を支えた。【堀和彦】