フリーランスにも「所得補償」や「健康診断」を IT人材エージェント各社がサービスを充実

人口動態の変化により、終身雇用制度が崩壊しつつある中で、キャリアに関する考え方は変容を続けている。中でも、会社に勤めないフリーランスが増えている。クラウドソーシングを手掛けるランサーズ(東京都渋谷区)発表の「フリーランス実態調査2018年版」によると、フリーランス人口は18年時点で1119万人を数え、15年からの3年で22.6%の増加。また、フリーランスに関する経済規模は20.1兆円と、17年から18年にかけて9%の伸びを見せている。

フリーランスの多くが「収入の安定性」で悩んでいる。会社勤めとは違い、毎月安定的に給料が支給されるわけではないので、日々自分で仕事を見つけてこなければならない。こうした背景から、仕事の紹介や契約締結などを代行してくれるエージェントサービスを活用するフリーランスも少なくない。

また、収入の安定性とともにフリーランスを悩ませるのが「バックオフィス業務」だ。プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が発表した「フリーランス白書 2019」によると、フリーランス活動を続ける上で障壁となっているものとして最も多く回答されたのが「収入がなかなか安定しない」(60.9%)。2位は、「経理などの庶務・バックオフィスが煩雑」(36.8%)だった。

こうした背景を受けて、主にIT人材のエージェントサービスで、フリーランス向けのバックオフィス業務や福利厚生を充実させる動きが出始めている。

「所得補償」制度も
PE‐BANK(東京都港区)は、フリーランス向けに確定申告のサポートや健康診断キットの購入全額補助、家族までを対象に含めた健康診断に対する補助金制度などを充実させている。

同社は1989年に、ITエンジニア向けの協同組合として創業。同社の高山典久取締役は、「創業当時は『フリーランス』という言葉もなかったのでは。企業側もあまり積極的ではなく、個人単位で仕事を受注するのが難しかった」と話す。そこで、仕事の受け皿として組合を作り、給付金や補助金などの制度を充実させていたという。共済会費を負担して加入する「PE共済会」では、所得補償金や審査不要のがん保険なども受けられるというから驚きだ。

また、フリーランスに対する家族の理解度を高めるため、家族も参加できるイベントを実施したり、読書会や勉強会といった“横”のつながりを広げる活動の後押しもしている。

geechs job(ギークスジョブ)を展開するギークス(東京都渋谷区)は、フリーランス向けの福利厚生サービス「フリノベ」を17年から提供している。PE-BANKのものとは違い、こちらはサービスを提供する企業と提携し、利用者が提携先のサービスをお得に受けられるようなものがメインだ。フリーランスの要望を受け、アンケート調査を行いながらサービスを設計した。今では提携企業は30社近くにのぼる。

同社の担当者によると、「特に喜ばれているのは会計サービスや健康診断サービス。会社勤めだったときに受けられていたようなサービスは人気がある」という。

フリーランスが増加している背景には、こうした各エージェントの手厚いサポートもありそうだ。