「噴火警戒レベル」5月から運用 監視続く栗駒山の現状は

秋田、岩手、宮城3県にまたがる活火山、栗駒山(1626メートル)で気象庁は、今年5月30日から「噴火警戒レベル」の運用を開始した。改正「活動火山対策特別措置法」(活火山法)の施行に伴う措置。大規模に噴火すれば最悪の場合、泥流が成瀬川を駆け下り、本体工事中の成瀬ダムも越えて下流自治体に被害が及ぶ可能性があり、監視が続いている。【佐藤伸】
「噴火警戒レベル」は噴火時に住民や観光客、登山者らがとるべき防災行動を、レベル5(避難)▽レベル4(避難準備)▽レベル3(入山規制)▽レベル2(火口周辺規制)▽レベル1(平常)――に分け、示している。栗駒山は現在「レベル1」となっているが、秋田、岩手県境の昭和湖付近で高濃度の火山ガス(硫化水素)が検出され、入山者が多い「須川コース」が立ち入り禁止となっている。
火山噴火予知連絡会は2009年に栗駒山を「監視・観測体制の充実が必要な火山」に選定した。しかし関係団体は「噴火史が未解明」などとして、防災体制作りを先送りしてきた。
状況が一変したのは14年に死者57人、行方不明者6人を出した御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火だ。噴火当時、御嶽山は「レベル1」の運用だっただけに活火山を有する全国の自治体に衝撃が走った。国は15年に活火山法を改正し、関係自治体に協議会設置と避難体制の協議を義務づけた。「栗駒山火山防災協議会」は16年に設置され、ハザードマップと避難計画を策定。この時点で、被害は広範囲に及ぶ可能性があることが明らかになった。
それによると、噴火口を秋田・岩手県境の昭和湖一帯に想定。レベルが上がるにつれ、噴石▽高温の岩塊やガスが高速で流下する火砕流・火砕サージ▽火口付近の雪を急速に溶かし発生する大量の水と土砂が混合、流下する融雪型泥流――の3現象が居住地域とその付近を襲う可能性があることが分かった。
特に、レベル5~4では、成瀬川と磐井川(岩手県)の居住地域と同付近で、融雪型火山泥流が「到達」「到達の可能性」があると説明。中でも成瀬ダムの本体工事が進む成瀬川では、約20分後に東成瀬村草ノ台付近に、約50分後には横手市増田町荻袋に到達――と明記した。避難対象者数は秋田県側で約230人(18年6月現在)に上ると試算するが、その後始まったダム本体工事の労働者が多くおり、避難対象者数はさらに増える可能性もある。
気象庁の火山観測データによれば、8月17日以降の地震回数は1回のみ。岩手県総合防災室は「火山活動は静穏を保っている。火山噴火予知連絡会などの見解も踏まえながら、当面はレベル1で監視する」と話している。