岩手県が「復興推進室」新設 台風19号で仮設住宅92戸必要

岩手県内でも大きな被害を出した台風19号の日本列島上陸から12日で1カ月になる。達増拓也知事は11日の記者会見で、復興を急ぐために「台風災害復旧復興推進室」を新設すると発表した。推進室は22人体制で、うち1人は被害の大きかった普代村に駐在する。【藤井朋子】
推進室では市町村と連携して復興に取り組みながら、国からの支援の調整などに当たる。達増知事は「農林水産業や商業観光に必要な復旧事業を、できるだけ早く的確にやっていくことが、これからの大きなテーマになる」と話した。
県の8日現在のまとめによると、台風19号による県内の死者は2人。住宅では2320棟が一部破損以上、160棟が床上・床下浸水の被害を受けた。農林水産関係の被害額が約93億円、企業などの商工関係は約14億円に上る。県や市町村が管理する河川や道路など、公共土木施設は1000カ所以上が被害を受け、被害額は約261億円に及ぶ。
応急仮設住宅は沿岸4市町村で92戸が必要となる見通し。内訳は山田町45戸、釜石市30戸、宮古市15戸、普代村2戸。山田町は東日本大震災のプレハブ仮設を一部活用するが、同町以外は自治体が民間の賃貸住宅などを借り上げる「みなし仮設住宅」ですべて対応する。県によると、プレハブ仮設の新設要望はなかったという。
災害救助法は、仮設住宅の入居期限を原則2年としている。
家族と川柳愛した 土砂崩れで犠牲に
台風19号による土砂崩れに巻き込まれて亡くなった宮古市築地の飲食店店長、木村徹さん(59)は、40代前半に心筋梗塞(こうそく)を患ってから、川柳を作るようになった。自宅隣にある中央公民館での教室に顔を出し、岩手芸術祭の川柳部門では最高賞にも選ばれた。

大病を機に、人生観に変化があったのか、細かいことを気にしていた性格が穏やかになった。最高賞に選ばれた作品の一つが「放浪の 雲から唄を 聴く案山子(かかし)」。亡くなる前日の12日は、作品が本に収録されることになり、本に載せるあいさつ文を書いていた。
13日未明、猛烈な雨を心配して、様子を確かめようと外に出た。駐車場に止めてあった車が泥をかぶっているのに驚き、裏庭に回ったところ、土砂崩れに巻き込まれた。救急車で病院に運ばれ、見た目にはそれほど外傷はなかったが、肋骨(ろっこつ)が折れていた。同日午後10時ごろ、息を引き取った。死因は外傷性ショックだった。
家族を愛した。長男夫婦に昨年12月に生まれたばかりの初孫には目がなかった。2人の娘も可愛がった。
「にんげんが 壊れる前に 栓を抜く」
夫がいつか作ったこの句を支えに、妻の幸子さん(58)はこれからを生きていくという。【鬼山親芳】