危険、不便…それでも魅力 記者がバイク免許を取ってみた

山が鮮やかに色づいた11月、秋田県内では抱返り渓谷などで、自然を楽しみながらツーリングをするバイクライダーを見かける。記者は今春から秋田市内の自動車学校に通い、普通自動二輪と大型自動二輪の免許を取得した。全国的にライダー数は減少傾向とされる中でバイクの安全と魅力を考えた。【川口峻】
ライダー減少
教習は6月にスタートした。教習所に通うのは、乗用車の免許を取った8年前以来だ。初日の教習では、男性指導員から車両点検やギア変速の方法などを習い、さっそく所内の周回コースへ出発。右手でアクセルを少し回すだけで強くなる風が、晴天とも相まって爽快だ。ただ、重量がゆうに100キロを超えるバイクは走行中ハンドルとシートの間にあるタンクを両脚で挟んで姿勢を安定させるため、降車後はももに痛みも。日ごろの運動不足まで確認できた。
そんなバイクだが、風雨をしのぐのも、「シートを倒して仮眠を」ともいかず、車を日常的に使う身としては不便さを感じるのも事実。日本自動車工業会によると、排気量251㏄以上の二輪車の販売台数は、1985年には14万台超だったが、2018年には6万3000台あまりに減少。県警によると大型自動二輪免許数も、12年の約9万9000から、18年には約8万2000にまで減少しているという。
高い死亡率
実際にバイクに乗ると、発見があった。ハンドルに付いたミラーは小さく目視でなければ後方視野は四輪車に比べかなり狭い。さらに走行中の視野は、走行ラインに沿って縦長になりがちで、横から来る車両などへは注意が散漫になるという。

マンホールや工事現場の鉄板の上を走行する時はタイヤがスリップしやすく、車より路面に気を使う必要もある。路上で転倒すれば、周辺の車なども巻き込み、他のドライバーを加害者にしかねない危険性もはらむ。最近では車のハンドルを握っていてもバイクの後ろでは車間距離を長くとるようになった。
四輪車の事故に比べ、体がむき出しのバイクはシートベルトもないため事故による死亡率が高い。警察庁によると、交通事故での死傷者数に占める死者数の割合「致死率」(18年)は、普通自動車などの「自動車乗車中」では0・35%だが、「自動二輪車乗車中」では4倍以上の1・43%。県警によると、昨年に発生した二輪車が関与した事故は30件。しかし死者は3人と、事故10件当たり1人のペースで死者が出ている。うち1人はプロテクターも着用していたという。
右折時に危険
教習中、バイク事故で多いと注意されたのが、右折車と直進車による「右直事故」だ。県内でも、18年に6件あったといい、交差点での出合い頭の事故(9件)に次いで多い。大きなトラックなどに隠れてしまうこともあるが、視界が確保されていても車のドライバーにはバイクが小さく見えるため、接近中の距離感を見誤りがちだという。
事故に遭わないよう、バイクの特性を正しく理解し、運転技術を磨いていくことは、ライダー側の務めだ。一方で、バイクの販売数と免許数が全国的に減少し、バイクの特性が四輪車のドライバーに理解されにくい環境下で、二輪車の事故を防ぐためには四輪のドライバーがある程度二輪車の特性を知る必要があるとも感じた。8年ぶりに教習所に通った収穫は、二輪免許の取得だけでなく、四輪のドライバーとしてみたバイクへの理解だった。
二輪車の最大の魅力は気温や風、匂いをダイレクトに感じられる点だ。豊かな自然が多く残る秋田では、春から秋にかけて魅力的な乗り物であることは事実だが、事故の致死率の高さなども念頭に安全運転を心がけたい。