河野太郎外相の次は誰? 「枝野発言」でまさかの結末か

立憲民主党の枝野幸男代表の一人芝居で揺れ動いているのが、河野太郎外相(56)の処遇だ。8月28日のラジオ番組で、日韓問題をめぐり、枝野氏は「上から目線の河野外相の対応で韓国を追い込んだ。外相を代えるしかない」と断じた。各社は「枝野氏が河野外相の辞任要求」と報道。だが30日の会見では「辞任しろとは言ってない」と前言撤回。高まる嫌韓世論に脅えての豹変にも見えた。
そもそも、9月の内閣改造での外相交代は既定路線だった。河野氏に派閥を継がせたい麻生太郎副総理も交代を求めている。「下働きで汗をかかない」と派内で不評の河野氏を、麻生氏は派閥活動に専念させたい意向だという。
このため次期外相レースは、早くから、2人の男を軸に過熱化してきた。
一人は茂木敏充経済再生相。ここ数年、外相就任が取り沙汰されてきたが、「実は去年、安倍晋三首相から『次は外相。今は再生相を続けて欲しい』との手形を切られたという『定説』が永田町で流れている」(政治部デスク)。米国との通商交渉をまとめあげて外相に就任すれば、今後首相への道も開けると茂木氏は考えているようだが、「密約説はあくまで茂木氏側が語る『定説』。これを伝え聞いた首相は『茂木さんは勘違いしている』と苦笑したそうです」(同前)。
もう一人の候補は?
もう一人の候補は加藤勝信自民党総務会長。義父・加藤六月元政調会長は、首相の父・安倍晋太郎元外相の最側近で、両家はいまも家族ぐるみの付き合いだ。昨秋の総務会長就任で一躍「ポスト安倍」にも名があがるようになった。今春には訪米し、複数の州知事らと会談。「首相候補に育てたい安倍首相の指示を受けた訪米だった」(政治部記者)。
2人は同じ竹下派。竹下亘会長が食道ガンで不在の中、次に就くポストが、どちらが派閥の跡目を継ぐかにも深くかかわってくる。
「茂木氏が昨年、周囲に『俺が外相になって、菅(義偉)官房長官が幹事長になるとしたら、官房長官は誰かな』と問いかけたことがありました。そこで『加藤さん』と答えられ、ライバルへの予想以上の高評価にがっかりしたそうです」(同前)
日米交渉を大枠合意に導いた茂木氏が外相最有力候補なのは間違いないが、麻生派ベテラン議員は「河野氏続投もありうる」という。理由は冒頭の枝野発言だ。実はその後、枝野氏は周囲の議員に「私が交代を求めれば、首相の性格なら『枝野の言う通りにはしない』と続投させるだろう。子供っぽい河野氏続投のほうが政権にダメージを与えやすい」と漏らしている。もし続投なら、一番の功労者は枝野氏かもしれない。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年9月12日号)