福島第1原発事故による全町避難のため、福島県いわき市の仮設校舎で学ぶ同県双葉町立双葉南、双葉北小学校の全校児童33人が20日、小型無人機ドローンやモバイル通信を活用し、現在は立ち入ることのできない古里の景色を見たり、町内で働く人と会話したりする「バーチャルふるさと遠足」を楽しんだ。
児童は主に避難先で育ち、15歳未満は町への一時立ち入りも認められていないため古里の記憶がない。このため、NTTドコモやまちづくり会社「ふたばプロジェクト」などが協力し、200インチの画面で町中心部の交流施設とライブ中継を結ぶ授業を企画した。
授業では、中継先に出向いた南小の泉田淳校長が児童のリクエストを受けながらドローンの方向を変え、太平洋を望む沿岸部や、両校の校舎がある内陸部など町の現在の姿を空から見せた。中継には町内の除染に携わる作業員も登場し、児童は「台風の影響はありませんか」「大変な作業をしていただきありがとうございます」などとやり取りした。
6年の横田蒼空(そら)さん(12)は「人が住んでいないからグチャグチャな景色を想像していたけど、きれいな街並みだった」。4年の渡部咲さん(10)も「家がいっぱいあったし、(来春再開するJR双葉駅の)新しい駅舎も楽しみ。いつか電車で行きたい」と生まれた町に降り立つ未来へ思いをはせた。【乾達】