関東地方で初となる豚コレラ(CSF)感染が9月、埼玉県秩父市の養豚場で判明したことに伴う県の防疫措置で、排泄(はいせつ)物や飼料などの汚染物品が、搬出制限区域(半径10キロ)を超えた東秩父村の県有地に埋却されていたことが分かった。県が24日、村で住民説明会を開き、明らかにした。村民への事前説明はなく、出席者からは強い反発の声が上がった。【松山彦蔵】
県によると、秩父市の豚コレラは9月13日に陽性と確認され、同日夜から殺処分を開始。17日までにフレコンバック899袋の埋却と汚染物品の処理、消毒を終了した。この際、一部が秩父高原牧場(東秩父村)に埋却されていた。住民説明会での経過説明によると、養豚場内の埋却予定地の地下に水道管が通っていることが作業中に分かり、647個しか埋却できなかったという。県農林部は「処理を急ぐ中、県有地で埋却可能な場所が搬出制限区域外の秩父高原牧場しかなかった。豚の排泄物や飼料、防疫服などを入れたフレコンバッグ252個を9月15~17日に牧場敷地内に埋めた」「国と協議し、(搬出制限区域外での埋却について)国の許可は得た」と説明した。
埋却地近くの川の水を飲用水にしている鈴木保男さん(66)は、東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で福島県飯舘村から避難し、今年4月、ログハウスを建て村への定住を決意したばかり。「埋却物の中身がよく分からず不安だ」と憤りをあらわにした。
農水省の豚コレラに関する防疫指針では、あらかじめ農場ごとに埋却地を確保することとされ、感染が確認された場合には、発生農場から半径3キロ圏内の豚の移動を禁じ、半径10キロ圏内を汚染物品の搬出禁止区域とするまん延防止策が定められている。
住民説明会で、県農林部の牧千瑞部長らは「養豚場での事前の埋却地の確保と確認が不十分だった。発生自治体を含めた市町村との埋却代替地の調整もしていなかった。結果、村民に事前説明がないまま牧場に埋めることになった」と一連の防疫措置を陳謝した。
出席した住民からは、牧場の埋却地からの漏水や土砂崩れでウイルスが外部に浸出するのではないかという不安の声が多く出た。県側は「埋却物は雨水が浸透しないと確信している。万一、ウイルスが漏出しても人体に被害はない」と安全性を強調した。
鈴木さんは不安要素として、県が埋却時の写真を撮影していないことを指摘。「埋却物は3年間、掘り起こしてはならない」という法令を踏まえ「(埋めた)中身が分からず不安だ。3年後に掘り返し、(安全を)確認してほしい」と訴えたが、県側は「拡散リスクがあり再発掘は考えていない」と拒否した。