大阪市住吉区の小学6年女児(12)を連れ去ったとして、栃木県小山市の自称・派遣社員の伊藤仁士容疑者(35)が未成年者誘拐の疑いで逮捕された事件で、女児が容疑者宅を脱出後、約1キロ離れた小山署犬塚交番で保護されるまで約3時間半にわたって小山市内をさまよい歩いていたことが、分かった。
この事件では、伊藤容疑者宅にいた茨城県の女子中学生(15)も保護された。大阪府警などの調べによると、女児は今月10日頃、ツイッターを通じて伊藤容疑者と知り合い、「半年ぐらい前に来た女の子がいる、しゃべり相手になってほしい。うちに来ない?」とメッセージを受け、「話し相手になるくらいならいいよ」と応じた。17日午前、自宅近くに誘い出された後、伊藤容疑者の自宅まで連れ去られたとされる。
女児は容疑者宅に到着後、スマートフォンと靴を取り上げられたといい、容疑者宅では、雨戸を閉めた1階和室で、女子中学生と寝ていたという。リビングでテレビを見るなどはできたが、女児は保護されるまでの6日間、一度も外出できなかったという。
女児は23日午前10時頃、容疑者と女子中学生が就寝中に脱出。靴はなかったため、靴下のまま容疑者宅を出た。同日の小山市内は断続的に雨が降り、平均気温は11・7度と肌寒かった。県警によると、女児は傘も持たず、土地鑑のない地域を歩き回ったという。途中、通行人らに助けを求めた形跡はなく、交番を探していたとみられる。
車で通行中に女児とみられる子供を目撃した男性会社員(39)は「午後1時頃、寒そうに背中を丸めて、とぼとぼ歩いていた。いじめられて、靴を取り上げられたのか、と気になった」と語る。
県警によると、女児は同日午後1時半頃、犬塚交番に到着。交番に署員はいたが、自ら入ることはなく、入り口で立っているところを、署員が「どうしたの」と声を掛けて招き入れた。全身が雨にぬれた姿だった。署員に「行方不明になっていると思います」と自分の名前を告げ、状況を説明し「怖くて逃げてきた」と語ったが、自分が栃木県にいることは分かっていなかったという。
女児の脱出について、ある県警幹部は「2人の少女が無事に家に戻る結果となってよかった。監禁の恐怖に打ち勝ち、勇気ある行動だった」と語る。